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【4タイプ別】のぼせに使う漢方薬

のぼせの女性

のぼせは女性に起きることが多いです。更年期障害のホットフラッシュがよく知られます。しかし、若い女性でも、ストレス過多だったり、血行が悪かったり、体の潤い(体を冷やす働きがある)が足りなかったりすると、のぼせが起こります。また、ストレスや高血圧で、男性ものぼせます。

ここでは、のぼせを漢方の観点からタイプ別に分け、それぞれに使われる主な漢方薬を紹介します。のぼせのタイプ別に、薬膳から見ておすすめの食材も紹介します。

のぼせのタイプ分け

のぼせは主に以下の4タイプに分かれます。

  • イライラがあるのぼせ
  • 手足がほてるのぼせ
  • 下半身が冷えるのぼせ
  • 更年期のぼせ

① イライラがあるのぼせ

体の廻りが悪く、イライラしたり落ち込んだり、お腹のハリや喉のつまり感がある状態です。女性だと、生理前にとてもたくさん食べてしまうことがあります。これを、漢方の用語では、「気の巡りが滞っている」気滞(きたい)と呼びます。

使われる主な漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)

女性のストレス・不定愁訴に広く使われます。体の巡りを良くし、体の熱の偏りをなくしてのぼせを解消する漢方薬です。

女神散(にょしんさん)

加味逍遥散と似た作用があり、女性のストレス・不定愁訴に使われます。しかし、加味逍遙散が向く人よりも体力があって胃腸が丈夫な人向けです。もともと、刀傷を負った男性に使われていたので、ストレス社会で戦う男性にも向いた漢方薬です。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

便秘・イライラ・ストレス・不安があり、血行が悪い人に使われる漢方薬です。胃腸が丈夫で体力がある人向けの薬なので、体力がなかったり下痢をしていたりする人には向きません。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

炎症を取り、体を冷やす生薬を複数組み合わせています。胃腸が丈夫でがっしりした体つきの人に向きます。アトピーやかぶれにも使われます。冷やす漢方薬なので、胸の間・関節・みぞおちを触ってみて、冷えている人には向きません。

薬膳から見ておすすめの食材

気の巡りをよくする、香りの良い食材がおすすめです。

  • 柑橘類
  • そば
  • ピーマン
  • 三つ葉、ミョウガ、シソ、玉ねぎなどの香味野菜
  • バジル、レモンバーム、カモミール、ラベンダー、ローリエなどのハーブ類
  • フェンネルシード、カルダモン、クミン、ターメリックなどのスパイス類

この他、好きな香りのハーブティーを楽しむのも良いでしょう。


② 手足がほてるのぼせ

体の潤いが足りず、体を冷やす力が足りない状態です。漢方の用語では、「陰が足りない」陰虚(いんきょ)と呼びます。

使われる主な漢方薬

七物降下湯(しちもつこうかとう)

疲れやすく、下の血圧が高い人に向きます。頭痛や緑内障がある人によく使われます。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

体力がなく、寝汗をかく人に向きます。そういう人が、上半身は熱いけれど下半身が冷えている、眠れない、と言うときに使われます。

薬膳から見ておすすめの食材

体の潤いを補う食材がおすすめです。

  • 黒米
  • 山芋、長芋(潤いを補うには特に生で食べると良い)
  • アスパラガス
  • エリンギ
  • 白きくらげ
  • にんじん
  • ほうれん草
  • 黒ごま、白ごま
  • イカ
  • 牡蠣
  • ほたて
  • ブリ

③ 下半身が冷えるのぼせ

血の巡りが悪く、上半身の熱が下半身に降りていかない状態です。漢方の用語では、血瘀または瘀血(けつお・おけつ)と呼びます。

使われる主な漢方薬

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血行不良や、血行不良による生理痛に広く使われる漢方薬です。漢方では、血の巡りが悪いと肌のシミ・くすみがひどくなると考えるのですが、シミ・くすみに加えて吹き出物がひどい場合には、桂枝茯苓丸にハトムギ(ヨクイニン)を加えた桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)を使うと、より肌の状態が良くなりやすいです。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

色白でむくみがち、冷え性で体力がない人に向いた漢方薬です。貧血・生理痛(生理後半にシクシク痛むタイプ)にもよく使われます。

連珠飲(れんじゅいん)

胃腸に支障はないものの、体力にあまり自信がない人の貧血・めまい・動悸・更年期障害に向いた漢方薬です。血を増やしつつ血の巡りをよくする四物湯という漢方薬に、水分代謝を良くしてめまいや立ちくらみを改善する苓桂朮甘湯と言う漢方薬を足したものです。

薬膳から見ておすすめの食材

血の巡りを良くする食べ物がおすすめです。

  • 黒米
  • 黒豆
  • 納豆
  • らっきょう
  • ザーサイ
  • しし唐辛子
  • 玉ねぎ
  • 青梗菜
  • なす
  • 菜の花
  • ニラ
  • みょうが
  • ローズマリー
  • グレープフルーツ
  • ブルーベリー
  • 赤貝
  • 青魚全般
  • うなぎ
  • にしん
  • サフラン
  • お酢(特に黒酢)

軽い運動や入浴も、血の巡りを良くします。


④ 更年期のぼせ

発汗と同時に手足が冷える、顔がカッと赤くなるなどの状態で、これは体の潤いだけでなく、体のエネルギーが足りません。体のエネルギーが足りないことを、漢方の用語では、「気が虚している」気虚(ききょ)と言います。更年期のぼせは、気虚と陰虚が同時にある状態です。

使われる主な漢方薬

知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

体を潤す生薬に、体の熱をとる生薬や血行をよくする生薬を加えたものです。場合によっては、体を潤す生薬を主に組み合わせた六味地黄丸(ろくみじおうがん、別名:六味丸、ろくみがん)が使われることもあります。

薬膳から見ておすすめの食材

体の潤いを補う食べ物と合わせて、気を補う以下の食べ物を取るのがおすすめです。

  • うるち米
  • もち米
  • あわ、きび、ひえなどの雑穀
  • イモ類(特に山芋、長芋、気を補うには火を通すと良い)
  • 大豆、大豆製品(納豆、豆腐、枝豆など)
  • アスパラガス
  • えんどう豆
  • かぶ
  • かぼちゃ
  • 黒きくらげ
  • きのこ類
  • そら豆
  • アボカド
  • ぶどう
  • イワシ
  • うなぎ
  • えび
  • カツオ
  • サバ
  • タコ
  • タラ
  • ブリ
  • マグロ
  • 純ココア

気虚は、疲れたらこまめに休むことも大事です。

まとめ

のぼせには主に4つのタイプがあり、タイプによって使う漢方薬が異なります。おすすめの食材も異なります。自分ののぼせのタイプに合わせて、使う漢方薬や食べ物を選びましょう。

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