下痢に効果のある漢方薬
下痢に悩む人は多いです。下痢の原因は、冷え、気虚(体を温め動かすエネルギーの不足)、水分過多の3つがあり、それぞれ使う漢方薬が異なります。下痢の原因ごとによく使う漢方薬を紹介します。
この記事の目次
下痢の原因ごとによく使う漢方薬
冷え
基本的にお腹を温めて対処します。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
お腹を温めつつ、筋肉のひきつりを抑えて腸の過剰なぜん動を緩める漢方薬です。冷えによる下痢だけでなく、冷えによる便秘や腹痛にも使います。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
桂枝加芍薬湯に水飴を足した漢方薬です。水飴は気を補い、体を温め動かしてくれるので、よりお腹を温めて動きを正常にします。子供の腹痛によく使われます。
大建中湯(だいけんちゅうとう)
お腹を強力に温める生薬(花椒など)と気を補う生薬(高麗人参)を組み合わせた漢方薬です。冷えによる便秘や下痢に使われます。手術後に腸が動かなくなるのを防ぐためにもよく使われます。
人参湯(にんじんとう)
下腹やみぞおちが冷えて下痢をしている人向けの漢方薬です。お腹を温める生薬と、気を補う生薬が組み合わせられています。普段から食欲不振で冷えて下痢をする人におすすめです。
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
人参湯に、体の内部を強力に温める生薬を足した漢方薬です。冷えが著しい下痢に使います。
真武湯(しんぶとう)
冷えてむくむ人向けの漢方薬です。体を内部から強力に温めつつ、体の余分な水分を抜きます。冷えてなおかつ水分過多、体が弱い人向けの漢方薬です。体が弱くて冷えてむくむ人の風邪にも使います。
気虚
漢方では、消化吸収ができないと十分な気を作れないと考えています。胃腸に力をつけ、消化吸収力を高めることで気を補う場合が多いです。
四君子湯(しくんしとう)
食欲不振、胃が弱い人に使います。胃腸に元気をつけて消化吸収力を高める基本の漢方薬です。いわゆる高麗人参を中心に、胃腸の消化吸収力を高める生薬が組み合わせられています。
六君子湯(りっくんしとう)
四君子湯に、胃の動きをよくする生薬を2つ足したものです。胃が弱いだけでなく、もたれやすい人に向いています。胃が弱すぎる人には四君子湯のほうが向いています。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲不振や体力不足に使う漢方薬です。気を補う生薬に、四君子湯などを組み合わせ、気を上に持ち上げてしゃっきりさせる薬です。
啓脾湯(けいひとう)
食欲不振のある下痢、お腹の張りやひきつりに使う漢方薬です。四君子湯に消化酵素を含む生薬や胃腸の余分な水分を除く生薬を足した薬です。胃腸の消化吸収力を上げるだけでなく、直接消化を助けて胃腸の働きを助けます。
水分過多
下痢は胃腸の水分過多で起こります。胃腸の水分吸収をよくすることで対処します。
五苓散(ごれいさん)
体の余分な水を抜く漢方薬です。胃腸の余計な水分を吸収し、むくみなどの余計な水分を尿にして外に出します。むくみ、低気圧頭痛、二日酔いの頭痛などにも使います。また、胃腸の水分吸収をよくするので、脱水症状に水分とともに使う場合もあります。
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
胃腸の余分な水分を吸収し、お腹を温める漢方薬です。下半身が水に浸かったように冷える人に使いますが、水を抜く作用もあります。冷えてむくんでいる場合の腹痛にも使われます。
胃苓湯(いれいとう)
飲み過ぎ食べ過ぎで胃腸が冷えて動かなくなっている場合に使われます。胃を温め動かす生薬や、胃の水分吸収を良くする生薬、胃を元気にする生薬が複雑に組み合わせられています。五苓散と平胃散(へいいさん)という漢方薬を組み合わせた漢方薬です。
ストレス
ストレスでしてしまう下痢の場合は、ストレス症状を和らげる漢方薬で対処します。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
胃腸の張り・つまりがあり、神経が高ぶって情緒不安な人に使います。みぞおちが張っているとこの薬が合う場合が多いです。上半身の熱を冷まして神経の高ぶりを抑えつつ、胃腸を温めて健やかに動かす漢方薬です。
柴苓湯(さいれいとう)
風邪や暑気あたりに使われる薬です。胃腸の水分吸収をよくして余計な水分は尿として出しつつ、胃の動きを健康にし、体の余計な熱を取ってストレス症状を和らげます。
普段の養生
下痢をしないためには普段からの養生も大事です。
冷え
冷たいものの飲食を控えましょう。また、衣服を工夫し、体を冷やさないよう心がけましょう。貼るカイロを下腹と仙骨に貼るのもおすすめです。
気虚
胃腸の消化吸収力が落ちている場合が多いので、消化がよい食事を心がけましょう。冷たいもの、脂っこいものは消化に悪いため、あっさりした味付けで温かい料理にしましょう。
ストレス
漢方では、よい香りが気の巡りを良くしてストレス症状を和らげるとされています。生活に自分の好きな香りを取り入れましょう。香水でも入浴剤でもアロマオイルでも大丈夫です。特に好きな香りがない場合は、柑橘類の香りがおすすめです。また、屋外で運動したり、カラオケで大きな声を出したりなどしてストレス発散を心がけましょう。
下痢を治すために漢方を
下痢を治すには、原因別に細かく漢方薬を使い分けるのが大事です。
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。
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