エイジングケアを漢方で
エイジングケアは漢方薬の得意とするところです。
漢方において、老化は腎精が不足している(腎虚)とみなします。また、単純な体力低下は、体を動かし温めるエネルギーが不足している(気虚)とみなします。
腎虚と気虚に使われる漢方薬を紹介します。また、加齢でイライラ・怒り・不眠が起こる場合もあるので、それらに使われる漢方薬も合わせて紹介します。
この記事の目次
老化防止(腎虚向け)
腎精を補い老化を防止する漢方薬を紹介します。ただし、これらの漢方薬は腎精を補う基本の生薬である「地黄」(じおう)を含み、地黄は胃にもたれる場合があるため、胃腸が弱い場合は気虚に使う漢方薬をしばらく飲んでからこれらを使いましょう。
六味丸(ろくみがん)(六味地黄丸、ろくみじおうがん)
老化防止の基本漢方薬です。腎を補う生薬3つと、加齢で滞った体の巡りを促す生薬3つが組み合わせられています。腎精と体の潤いを補い、のぼせやほてりを冷やすので、顔が赤い人の、のぼせ・視力減退・耳鳴り・口の乾き・疲れ・寝汗・腰痛・尿の減少に効果があります。子供の発育不良にも使われる薬です。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
六味丸や八味地黄丸が向いている人で、下半身のだるさ・腰痛・尿量の減少が特にひどい人向けの漢方薬です。尿の出をよくする作用が強いです。八味地黄丸に、水の巡りを良くする生薬と、筋骨を強めつつ下半身に他の生薬の効果を導く生薬を足したものです。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
六味丸が向いている人で、のぼせやほてりがひどい人向けの漢方薬です。六味丸に、体を冷やす生薬と、体の熱を取り潤いを補う生薬を足したものです。循環器に異常のある場合や、脳卒中の病後にも使います。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
飲む目薬と言われている漢方薬です。六味丸が向いている人で、視力減退・高血圧・眼圧が高い、などによく使われます。目の乾きやかすみがある場合にも向いています。六味丸に、目の炎症を抑える生薬と目の疲れや潤い補充によい生薬を足したものです。
麦味地黄丸(ばくみじおうがん)
六味丸が向いている人の、粘膜の乾燥・口の乾き・空咳などに使われる漢方薬です。六味丸に、体の潤いを補う生薬と余計な汗を止める生薬を足したものです。
体力補充(気虚向け)
◎体力補充(気虚向け) 老化症状と思われる症状には、単に気力体力が不足している場合があります。気を補い、体力を補充する漢方薬を紹介します。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体力がない場合によく使われる漢方薬です。人参を中心に、体力を補う生薬を多く含んでいます。ただし、上半身にエネルギーを持ち上げる漢方薬なので、下半身のだるさ・重さが強い場合は向いていません。下半身のだるさ・重さがあるけれど胃腸が弱いなら、次に紹介する帰脾湯や六君子湯のほうが向いています。
帰脾湯(きひとう)
食欲がなく、よく眠れず、ぼーっとしてしまう人に使われる漢方薬です。体力をつけつつ胃腸を整え、栄養の吸収をよくして、きちんと眠るためのエネルギーと頭を働かせるエネルギーを補充します。帰脾湯が向いているけれどイライラやのぼせもある場合は、イライラやのぼせを抑える生薬を足した加味帰脾湯(かみきひとう)が向いています。
六君子湯(りっくんしとう)
胃腸に元気をつけ、栄養の吸収をよくする生薬と、胃の動きをよくする生薬を組み合わせた漢方薬です。食欲がなく胃腸が弱い人に向いています。胃を無理に動かすと負担なほど胃腸が弱い人は、六君子湯から胃を動かす生薬を抜いた四君子湯(しくんしとう)が向いています。
その他、気虚だけれど胃腸がそれほど弱くない場合は、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)が使われる場合があります。
怒りっぽさやイライラを抑える
加齢で気持ちが抑えにくくなる場合があります。怒りやイライラを抑える漢方薬もあります。
抑肝散(よくかんさん)
気持ちの高ぶりを抑える漢方薬です。胃が弱い人には、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)がより向いています。
不眠(中途覚醒)
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
眠りの質をよくし、夜中や早朝に目が覚めてしまうのを防ぎます。目が覚めてしまってもすぐ眠れるように導く漢方薬です。眠りの質をよくするので、眠りに導くだけでなく、寝ても寝ても眠い、という症状も改善します。
帰脾湯(きひとう)
気虚向けの漢方薬ですが、不眠にも使われます。眠るためのエネルギーを補充する漢方薬なので、即効性はありませんが、胃腸が弱いなら酸棗仁湯よりこちらがおすすめです。酸棗仁湯と併用も可能です。
まとめ
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。
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