胃炎に効果のある漢方薬をご紹介
慢性的な胃炎はつらいものです。漢方では、胃炎には4つの原因があると考えます。「寒」「熱」「気虚」「気滞」です。
胃炎の原因ごとに漢方薬を使い分けます。
この記事の目次
寒
胃が冷えて、胃酸から胃を守る粘膜が十分出ない状態です。胃を温めて対処します。
主に胃を温めます。補助として、胃を冷やす水分を抜く場合もあります。
人参湯(にんじんとう)
胃腸を温める乾燥蒸し生姜(カンキョウ)に、胃腸の消化吸収力を高め気を補う高麗人参を配合した漢方薬です。冷えて下痢する場合によく使われますが、お腹を温めるので胃が冷えている場合にも使われます。
胃苓湯(いれいとう)
胃の水分吸収をよくし、胃の水分を抜いて胃を温める漢方薬です。胃を動かす作用もあるので胃もたれがある場合に向いています。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
めまいに使われる漢方薬ですが、胃の水分吸収をよくしたり胃を元気にしたりして三半規管などのむくみを取る漢方薬なので、冷えの胃炎にも使われます。胃が弱くむくみがちな人向けの薬です。
熱
胃酸が出すぎている状態です。胃の熱を取って対処します。
胃や体の熱を取る漢方薬を使います。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
胃を動かしつつ胃の熱を取る漢方薬です。吐き気や胸苦しさがある場合によく使われます。胃の熱による神経の高ぶりにも効きます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体の熱を強力に冷やす漢方薬です。アトピーなどの炎症によく使われますが、胃の熱も強力に冷やします。強力に冷やす漢方薬なので、冷え性の人や体力がない人には向きません。
気虚
胃に力がなく、十分働いていない状態です。胃腸に気(体を温め動かすエネルギー)を補って対処します。
気を補って胃に力をつけ、粘膜を十分出させます。消化吸収能力も高めます。
四君子湯(しくんしとう)
消化吸収能力を高め気を補う高麗人参をメインに、胃に力をつけ健康にする生薬を複数組み合わせた漢方薬です。胃が弱い人向けの漢方薬の基本なので、四君子湯に生薬をいろいろ足した派生処方が多数存在します。
六君子湯(りっくんしとう)
四君子湯に胃の動きをよくする生薬を2つ足した漢方薬です。胃が弱く胃もたれしやすい人向けの薬です。ただ、あまりにも胃が弱い場合は無理に胃を動かさないほうがいいので、四君子湯のほうが合います。
補中益気湯
四君子湯に、体力を補う生薬や胃を健康にする生薬を足した漢方薬です。気を上に持ち上げて頭をしゃっきりさせる作用があります。内蔵を上に持ち上げるので、内臓下垂や脱肛にも使われます。
啓脾湯(けいひとう)
胃に力をつける高麗人参に、同じく胃に力をつけ消化吸収力を高める生薬や、胃の余分な水分を抜く生薬を足したものです。タンパク質の消化酵素を持つ生薬も含まれているため、消化を直接助け胃を安らげます。
気滞
胃腸の動きが悪く胃の中身が停滞している状態です。気を巡らせて胃腸を動かすことで対処します。
気の巡りをよくする漢方薬で対処します。胃腸の動きを直接よくする漢方薬や、体全体の気の巡りをよくして胃腸の動きも間接的に正常にする漢方薬を使います。
平胃散(へいいさん)
胃の動きをよくしつつ胃の余計な水を抜く漢方薬です。食べ過ぎ・飲み過ぎで胃腸の消化能力が追いついていない場合に使います。
大柴胡湯(だいさいことう)
みぞおちが張って胃腸が詰まっていて、便秘やのぼせがある人に向いた漢方薬です。体力がある人向け、便秘気味の人向けの薬なので、体力がなかったり下痢だったりする人には向きません。
四逆散(しぎゃくさん)
体力があるけれどストレスで気の巡りが悪くなり、胸の脇が固く張ったり肩こりがひどかったりする人向けの漢方薬です。体の中心は熱いけれど手足がストレスで冷えている人に向いています。
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
四逆散に、さらに生薬を足し、体の巡りをよくしつつ筋肉のひきつりを抑えるようにした漢方薬です。気の巡りをよくする作用が強くなっていますが、ある程度体力がある人向けの薬です。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
気の巡りをよくしつつ、血の巡りや水の巡りなど、体全体の巡りをよくしてイライラや落ち込みを和らげる漢方薬です。体力があまりなくても使えます。女性の生理前症候群や不定愁訴にもよく使われる漢方薬です。
小柴胡湯(しょうさいことう)
上半身がのぼせているけれど体は冷えていて、体力もあまりない、という人によく使われる漢方薬です。みぞおちや胸の脇が固く張っていて、体力のない人に向いています。ストレスによる慢性症状や、気の巡りの悪さにも使われます。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
風邪が長引いたときに使われる薬で、冷えた体を温めつつ余計な熱は取ります。体力がない人の気の巡りをよくします。
胃炎と漢方薬
胃炎には多くの原因があり、原因や飲む人の体力によって漢方薬を細かく使い分けます。多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。
体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。
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