シェーグレン症候群
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シェーグレン症候群は自己免疫疾患のひとつ
シェーグレン症候群は膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる病気の中の自己免疫疾患の一つです。
膠原病とは全身のたんぱく質に慢性的な炎症が広がる病気の総称です。
シェーグレン症候群は、本来なら細菌やウイルスから体を守る免疫が、誤って自身の唾液腺や涙腺を異物とみなし攻撃してしまう疾患で、他の膠原病を合併しない一次性と、他の膠原病を合併する二次性に分けられます。更に一次性シェーグレン症候群では、その攻撃は腺型と腺外型にわかれ、腺型では攻撃が外分泌腺に限られ、腺外型では外分泌腺以外の全身臓器に及びます。
外分泌腺とは
私たちは体の状態を一定に保つために、細胞から物質がつくられ分泌されます。物質を分泌する器官には内分泌腺と外分泌腺があり、内分泌腺からはホルモンと呼ばれる物質が血液中に分泌され、全身に運ばれます。
外分泌腺からはつくられた物質は排出管を通って、体外や消化管内に分泌されます。外分泌腺には唾液腺、涙腺、消化腺、汗腺、乳腺などがあり、唾液腺からは唾液が、消化腺からは胃液や膵液がそれぞれの臓器に分泌されます。
シェーグレン症候群の症状
腺型のシェーグレン症候群では外分泌腺を攻撃してしまうので、涙腺、唾液腺だけでなく、鼻、気管、皮膚などの分泌液が減り、ドライアイ、ドライマウス、鼻の乾燥、のどの痛み、皮膚乾燥による痒みなどの症状が見られます。また、唾液・気道粘液の分泌が低下するので、細菌などに感染しやすくなり、虫歯や歯周病、口腔カンジダ症、感染性耳下腺炎、慢性気管支炎なども起こりやすくなります。
腺外型のシェーグレン症候群では外分泌腺以外の全身臓器を攻撃してしまうので、関節痛、皮膚の紅斑・紫斑、全身倦怠感、発熱、間質性肺炎、抹消神経障害、悪性リンパ腫なども起こります。 これらの症状が3ヶ月以上続いている場合はシェーグレン症候群の可能性があります。
シェーグレン症候群の診断
血液検査
シェーグレン症候群の患者さんの血液中によく見られる自己抗体、SS-A抗体とSS-B抗体の有無を調べます。SS-A抗体の陽性率は70%、SS-B抗体の陽性率は30%です。
生検病理組織検査
涙腺や唾液腺の組織を採取して顕微鏡で観察し、免疫細胞が過剰に増加していないかを調べます。
涙の分泌量検査
シルマー検査などで、乾燥により目の表面についた傷の程度を調べます。
唾液の分泌量検査
サクソンテストやガムテストと呼ばれる検査で調べます。
また、画像検査で唾液腺を観察し、炎症や組織の破壊の有無を調べます。
シェーグレン症候群の原因
西洋医学ではシェーグレン症候群の原因はまだはっきりと分かっていませんが、40~60歳代の閉経と重なる女性に好発することから、女性ホルモンの関係が言われています。他にも遺伝やウイルスなどの環境の要因が考えられています。
病院では対症療法が行われ、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。
※参考書籍;シェーングレン症候群 つらい症状がこれで改善した (嘉島康二、神谷彰)
シェーグレン症候群に実績のある漢方薬
シェーグレン症候群は自己免疫疾患で、繊維化を伴う増殖性の慢性炎症です。漢方では寒熱の見分けがとても重要ですが、シェーグレン症候群は寒証型がほとんどと言われています。
漢方では寒証型の瘀血症候群として病態を把握し、根本から体質改善をしてきます。
- 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
加美漢方薬局
味好俊治