掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症について
掌蹠膿胞症は私の漢方薬局ではご相談も多くよろこばれております。たいていの人は皮膚科のステロイド軟こうでコントロールをされていますが、なかなか完治が難しく、5年、10年とつらいお付合いをされている方がけっこうおられます。
掌蹠膿疱症の症状
掌蹠膿胞症とは文字どおり、主に手のひら(掌)・足の裏(蹠)に、水泡(水ぶくれ)や膿胞(膿をもつ水ぶくれ)が生じ、良いとき悪い時の波を繰り返しながら慢性的に続く病気です。
皮膚症状の特徴は、最初に皮膚が赤くなり、小さな水胞、膿胞(黄色くなる)に変化し、やがてかさぶたになり、はがれ落ちます。時間がたつとこれから様々の段階の水泡、膿胞、かさぶたが入り交った状態になります。
かゆみはあまりなく、水泡の出始めに少しムズムズとしたかゆみが生じることがあります。また、患者さん全体の10%くらいに胸のあたり、首や腰、指の関節などに炎症が起こり、痛むことがあります。
原因と悪化させる要因
掌蹠膿胞症は血液中のリンパ球や好血中などの白血球が皮膚に集まって水泡や膿胞が生じることがわかっていますが、まだはっきりとした原因は不明です。また、体の免疫力が低下して、免疫のしくみが狂う病気「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」のひとつともいわれています。
掌蹠膿胞症を悪化させる要因に「病巣感染」があります。それは体のどこかに細菌感染による慢性的な炎症があって、この病気を悪化させると考えられています。
多くは「扁桃炎」で、他に「歯周病」「虫歯」「副鼻腔炎」などがあります。しかし、病巣感染の部位を特定できない場合もあります。
上記以外の悪化要因に歯のかぶせや人口関節などの金属アレルギーがあげられることもあります。
病院での治療
中心はステロイド外用剤。水泡の治療に使い、水疱が膿胞になりにくくします。
活性型ビタミンD3剤は膿胞やかさぶたの治療に使います。
他にビタミン誘導体の服用や紫外線療法があります。
痛みに対する治療としては非ステロイド性鎮痛薬、ビタミンB製剤(ビオチン)、免疫抑制剤(シクロスポリン)などが使用されます。
漢方薬での体質改善
掌蹠膿胞症は漢方では病態(びょうたい)を「化膿性炎症」と把握(はあく)して「清熱解毒薬(せいねつげどくやく)」に分類される漢方薬を中心に使用します。化膿性炎症の代表は「おでき」です。しかし、おできのように細菌による感染ではありませんが、膿胞で膿(うみ)をもつという共通があります。
さらに症状は十人十色。患部を詳しく観察します。真っ赤になって熱をもっているのには炎症がきつい。膿胞の数が多いのは、それだけ化膿が強い。長年この病気とおつき合いの慢性の方。症状が頑固なタイプの方など…、といった具合に、その人その人の病態により適切な漢方薬を選びます。
そして、自己免疫疾患の病気のひとつとも言われてますので、私の長年の経験では、免疫力を高め免疫の狂いを正すことも、この病気には大変良いように思います。
掌蹠膿疱症に実績のある漢方薬
- 温清飲(うんせいいん)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 四物湯(しもつとう)
- 排膿散(はいのうさん)
- 排膿湯(はいのうとう)
- 通導散(つうどうさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
気をつけることは?
掌蹠膿胞症は細菌や真菌(かび)に感染しているのではありませんので、ほかの人にうつる心配はありません。
女性の患者さんの約9割は喫煙者ですので、禁煙がお勧めです。
水泡や膿胞を針で突いて破ると、そこに細菌が感染して痛んだり、腫れたりしますので、やめましょう。
便通が毎日、しっかりあることが大切です。野菜を中心の食生活で、繊維を多く取り、腸をきれいに保ち、腸管免疫を高めましょう。
加美漢方薬局
味好俊治
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