潰瘍性大腸炎
汚れた腸が病気をつくる、といわれるように腸はとても大切な臓器ですが、腸にも「自己免疫疾患」と呼ばれる病気があります。
自己免疫疾患とは、おおまかですがからだの中の敵(非自己)と味方(自己)の区別ができなくなり、自分自身(自己)を攻撃する「自己抗体」をつくってしまう病気でしたね。
からだの免疫力が低下し、そこに腸内細菌が関与して免疫のしくみに狂いが生じ、自分の腸の粘膜を異物(非自己)と認識してしまうために腸に炎症を起こしてしまいます。
それが「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」です。
潰瘍性大腸炎の特徴
まず「潰瘍性大腸炎」の特徴ですが、大腸の内壁の比較的浅い部分に炎症が起こり潰瘍ができます。
最初は直腸から起こり、そこから連続して広がっていくのが特徴で進行すると大腸全体に炎症が広がることもあります。
症状ははじめ便がゆるくなり、その後「血便」や、便に粘液や血液がまじった「粘血便」を繰り返すようになります。
悪化すると「発熱」「貧血」「体重減少」「関節炎」などの症状が起こります。
症状が出る「活動期」と症状が落ちついている「寛解期」とを、発症してから10~20年と長期にわたってくり返します。
潰瘍性大腸炎の治療
「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」は、西洋医学では一時的に症状を抑える治療になります。
「メサラジン」や「サラゾスルファピリジン」を使い症状が強い場合は「副腎皮質ステロイド」などを使います。
最近では炎症を抑える「抗TNF-の抗体製剤」も使われるようになりました。
他に炎症に関与する白血球の成分を除去する「白血球成分除去療法」もありますが、これらで改善しない場合は手術が行われます。
体質改善
では「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」を、漢方ではその病態をどのように捉え、体質改善していくのでしょうか。
これらの病気の患者さんは冷え症の方が多く、慢性的な炎症に伴って腹部の血流障害が起こっています。
この血流障害のことを漢方では「瘀血(おけつ)」といいますが、温めながらこの瘀血を取り除くことが 漢方の最も重要な作用、働きになります。 そして、それと同時に腸の炎症を抑え、増殖や繊維化を改善していきます。
さらに下痢、腹痛、出血、潰瘍、体力低下などその方の症状に応じて、他の漢方薬も適切に選択していきます。
また免疫異常がありますので、免疫力を高め、免疫の狂いを正すことも大切です。
これらの病気は一時抑え的な治療では闘病が10~20年の長期にわたることが多く、またクローン病では術後5年以内に30%の方が再手術をされるといわれています。
潰瘍性大腸炎に実績のある漢方薬
- 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 人参湯(にんじんとう)
- 大建中湯(だいけんちゅうとう)
- 芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
- 千金内托散(せんきんないたくさん)
- 温清飲(うんせいいん)
漢方薬を併用されることで、ぜひ根本的な体質改善をとりいれて下さい。
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味好俊治
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