前立腺がん
男性の前立腺がんの罹患率は胃がんに次いで第2位です。
60歳から増え始め、70歳代でピークになっており、加齢とともに発症率が上がっています。
前立腺は30mmほどのクルミ大の大きさの男性特有の生殖器官で、膀胱の真下にあり尿道を取り囲んでいます。
前立腺には精液の成分の約3割を占める前立腺液を分泌したり、排尿をコントロールする他、射精を調整する働きもあります。
前立腺がんの原因は、高齢化や、食事の欧米化による肉や乳製品など動物性脂肪の摂りすぎ、また、前立腺がんの細胞の増殖には男性ホルモンが大きく関係していると言われています。
がんでは自分の内なる免疫力を高めておくことも大切です。免疫力を高める漢方薬が報告されています。
前立腺がんの症状
前立腺がんは初期には症状が現れにくいがんです。
その理由は、前立腺がんのほとんどが、前立腺の外側部分に発生し、尿道に影響を与えないので排尿障害が現れないからです。
がんが前立腺の内にとどまっている状態を「限局がん」、がんが前立腺の被膜を破って周りに浸潤した状態を「局所進行がん」、がんがリンパ節や他の臓器に転移した状態を「転移がん」と言います。
局所進行がんでも症状が出ることがあまりありませんが、がんが大きくなり尿道や膀胱が圧迫されると、排尿困難や頻尿、血尿などの症状が現れます。
しかし、前立腺がんでは特に腰椎、骨盤骨、大腿骨の骨に転移しやすく、その場合は腰痛や脚のしびれが起こります。
転移の仕方には、リンパ節を伝って広がるものと、血液中にがん細胞が入って広がるものがあります。
他のがんの骨転移では、骨が溶けていくのに対して前立腺がんで骨転移が起こると、骨を形成して硬くなるのが特徴です。
骨転移が直接の死亡原因になることはなく、問題なのは痛みや骨折で生活の質が下がることです。
前立腺がんは進行が遅く、早期発見では根治が可能です。次回は早期発見のための検査法をお話します。
漢方には、がん自体の治療に伴う苦痛、だるさや不欲不振などを和らげる働きがあります。
早期発見のPSA 検査
前立腺がんは進行が遅いので、早期発見での生存率、治癒率が高いがんです。そこで、早期発見の鍵となるのがPSA検査です。
PSAは前立腺から精液中に分泌されるタンパク分解酵素です。
前立腺炎、前立腺肥大症や前立腺がんになると、前立腺の組織が壊され、PSAが血中に大量に逸脱するので、血液中のPSA値を調べ、高いほど前立腺がんの可能性や進行度合いが高くなります。
PSAの基準値は4.0ng/ml以下です。4.1~10.0ng/mlはグレーゾーンで、前立腺がんなのか他の前立腺の病気なのか分からない状態です。
10.1~20.1ng/mlは前立腺がんが疑われ、20.1ng/ml以上で前立腺がんの場合、かなり広がっている可能性があると判断されます。
PSA検査は50歳以上の男性に勧められています。しかし、父親や兄弟などで前立腺がんにかかった家族がいる場合は、前立腺がんになるリスクが高くなるので、40歳からのPSA検査が勧められています。
がんになると、がんそのものの治療にばかり目が向けられがちですが、治療に伴う苦痛を和らげることもまた大切です。漢方薬をお役立て下さい。
確定診断と治療
前立腺がんかどうかの確定診断は、PSA値が基準値を超えている場合に行われます。
検査には、直腸診や経直腸エコー、生検、CTやMRI、骨への転移を調べる骨シンチグラフィーなどがあり、がんの進行度、悪性度、転移の有無を調べます。
前立腺がんの治療は、PSA値、がんの進行度、がんの悪性度を考慮して選択されます。
主な治療法にはPSA監査療法、手術、放射線療法、内分泌療法(ホルモン療法)があります。
前立腺がんの進行はゆっくりなので、前立腺がんと診断されても、慌てず最も良い治療を選択することが大切です。
漢方には、がん自体の治療に伴う苦痛、だるさや不欲不振などを和らげる働きがあります。
生活で気を付けること
食生活では、魚や野菜中心の生活を心がけます。
人参、ほうれん草、青じそ、にらなど、色の濃い緑黄色野菜には抗酸化物質を多く含み、がんに良いとされています。トマトのリコピンにもがん抑制作用があります。
また、味噌や納豆、豆腐などの大豆製品には前立腺がんを抑制する効果があるので、積極的に摂るようにすると良いです。
前立腺全摘除術後は尿失禁が起こりやすいので、お腹に脂肪がつかないように高脂肪食を避けます。
放射線療法では直腸が刺激されるため、便秘には食物繊維を多く摂り、下痢には腸を刺激する食べ物を避けるようにします。
内分泌療法後には骨粗鬆症になりやすいのでカルシウムを多く摂ることが大切です。
また、男性ホルモンの分泌が低下するので筋肉が落ち、燃焼エネルギーが少なくなり、以前と同じ食事量では太りやすくなるので気を付けて下さい。
そして、ストレスは天敵です。ストレスで免疫力が低下するので、ストレスをためず、適度な運動などで発散を心がけて下さい。
がんでは自分の内なる免疫力を高めておくことも大切です。免疫力を高める漢方薬が報告されています。
前立腺肥大症との違い
前立腺がんと前立腺肥大症との違いは、悪性の腫瘍か、良性の腫瘍かの違いです。
前立腺がんが前立腺の外側部分に発生するのに対し、前立腺肥大症は内側部分に発生します。
そのため、尿道を圧迫し、早期から排尿障害があらわれます。
前立腺肥大症は、前立腺が肥大して起こる病気で、男性ホルモンが影響していると言われています。
50歳以降の男性に高頻度に発生するため、前立腺がんと前立腺肥大症の両方を合併してしまうことも珍しくありません。
前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺結石でもPSA値が上昇することがあります。
前立腺肥大症の場合、腺腫の容積が40ml以上の大きさだとPSA値4.0以上に上がることもあります。しかし、PSA値は前立腺がんの方が高い値を示します。
前述しましたが、前立腺がんの早期発見の鍵となるのがPSA検査です。
PSA検査は人間ドックやかかりつけの医院でも受けることができます、50歳以降の方に受診をお勧めします。
がんになると、がんそのものの治療にばかり目が向けられがちですが、治療に伴う苦痛を和らげることもまた大切です。漢方薬をお役立て下さい。お気軽にご相談下さいませ。
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