高血圧
血圧とは
血圧とは血液を全身に巡らせるために、心臓が血管に圧力をかける時の、血管にかかる圧力のことです。心臓の心室が縮まったときの血圧を収縮期血圧（上の血圧）、心室が広がったときの血圧を拡張期血圧（下の血圧）といいます。
サイレントキラー
高血圧とは血管にかかる圧力が何らかの原因で高くなった状態をいいます。 高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行し、突然、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や心不全、腎不全などの重大な病気を引き起こすため、サイレントキラー（静かな殺し屋）と呼ばれています。
高血圧の原因
高血圧の原因はいくつか考えられます。
①動脈硬化
心臓が血液を送り出すときに流れの悪い血液だと血管の壁に高い圧力がかかり、血管の壁がダメージを受けます。そこに脂肪などの様々な物質がたまると血管が硬く狭くなります。これが動脈硬化です。動脈硬化が進んで血管が狭くなると血流量が下がりますが、血圧を上げて血流量を維持しようとします。 動脈硬化は汚れて流れの悪い血液（漢方医学では瘀血（おけつ）といいます）や加齢が原因で起こります。高血糖、高脂血症（悪玉コレステロール、中性脂肪が高い）、肥満の人は注意が必要です。
②自律神経のバランスが崩れる
ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、交感神経が優位な状態が続き高血圧になります。
血圧は無意識のうちに自律神経を介して調節されています。 自律神経には日中の活動時に優位に働く交感神経と、睡眠中やリラックス時に優位に働く副交感神経があります。日中は活動に必要な酸素や栄養素を全身に送るため、交感神経は心臓の働きを高め、また血管を収縮させることで血圧が上がります。夜間は副交感神経の働きで血管が拡張し、血圧が下がるようになっています。
「早朝高血圧」や「夜間高血圧」は自律神経のバランスが崩れることで起こります。通常血圧は朝方になるにつれて徐々に上がり、日中は一番高くなり、夕方になるにつれて徐々に下がり、睡眠中は低くなります。
「早朝高血圧」では起床する頃に血圧が過剰に上がってしまいます。睡眠中から早朝まで血圧が下がらない高血圧持続型と、睡眠中は血圧が下がるが、起床時に血圧が急激に上昇する2つのタイプがあります。 「夜間高血圧」では普段は血圧が正常でも睡眠中に血圧が十分に下がりません。
③塩分摂取量が多い
腎臓は体内の余分な塩分を尿として排泄し、体内の塩分濃度を調節しています。しかし食事での塩分量が多いと腎臓が処理できなくなり、血液中の塩分濃度が上がります。塩分濃度を薄めるために水分が必要になり、血液の量が増えます。そのため血管に加わる圧力が増して血圧が上がります。
④ホルモン
肥満の人は内臓脂肪から悪玉のホルモンが分泌され、このホルモンは血管を収縮させます。また腎臓に作用して塩分を溜め込ませます。すると血液の量が増え、血圧が上がります。 また、女性では閉経後に高血圧になりやすくなります。女性ホルモンの一つ、エストロゲンには血管を拡張して血圧を下げる働きがありますが、閉経後はエストロゲンの分泌量が減るため、血圧が上がりやすくなります。
お勧めの食品
ほうれん草やバナナなどの野菜や果物に含まれるカリウムは、腎臓でのナトリウム（食塩）の再吸収を抑えて尿へ排泄し、血圧を下げます。
さつまいもやごぼうなどの根菜類に多い食物繊維は、ナトリウム（食塩）を吸着し体外へ排泄する働きがあります。 またイワシやサバなどの青魚に含まれるドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、オリーブオイルに含まれるオレイン酸は動脈硬化の予防に効果があります。
※参考図書；きょうの健康/NHK 最高の心臓と血管健康法/山下武志
高血圧に実績のある漢方薬
- 釣藤散（ちょうとうさん）
- 七物降下湯（しちもつこうかとう）
- 三黄瀉心湯（さんおうしゃしんとう）
- 黄連解毒湯（おうれんげどくとう）
- 防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）
- 通導散（つうどうさん）
- 柴胡加竜骨牡蛎湯（さいこかりゅうこつぼれいとう）
動脈硬化が原因となる場合は、汚れて流れの悪い血液、漢方医学では瘀血（おけつ）といいますが、瘀血を改善し血液をきれいにし流れを良くします。
また、自律神経が原因となる場合は、自律神経のバランスを整え改善します。 生薬の中には釣藤鈎、黄耆、黄柏、黄連といった血圧降下作用のあるものもあり、高血圧症の処方に入っています。高血圧の原因も人それぞれに違います。加美漢方ではお一人お一人の症状にお合わせし処方致します。何でもお気軽にご相談下さいませ。
加美漢方薬局
味好俊治
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