動悸を感じたときに おすすめの漢方薬と注意点
動悸は心臓や疾患が原因で起きる他に、疲れやストレスによっても生じる症状です。
循環器系である五つの臓器、つまり東洋医学で言う心(しん)がそういった疲労や心労の影響を受けやすいとされています。
ここでは症状を引き起こす原因について、そして改善に適したおすすめの漢方薬に関して解説します。
動悸の種類と原因について
特に大きな運動をしていないときでも心臓の拍動が明確に自覚できる状態を、動悸と呼びます。
まず主な原因として挙げられるのが、不整脈を中心とする心臓にまつわる疾患と、心臓以外の血液や心因性によるものの2つです。
運動をはじめとした身体に負担をかける活動を行ったとき、息切れと共に発症する場合は、心臓が起因となる心不全の可能性があります。
脈の乱れた状態が一定期間続く場合は、発作性心房細動をはじめとする不整脈の可能性があります。
心臓以外の原因に、めまいなどを伴う消化管出血をはじめとした貧血も挙げられます。
心拍数が上昇した状態が続いて手の震えが見られるときは、甲状腺機能亢進症が疑わしいです。
この他、安静時に呼吸が苦しく感じたり不安な状態が続いたりする場合は、精神的なストレスや疲労・不眠などが原因として挙げられます。
漢方薬が効果的な動悸とその原因
数ある症状の中で漢方薬の処方が効果的なのは、不眠・疲労やイライラなど心理的ストレスといったメンタル症状の治療です。
特に季節の変わり目や人生の転機となる春先、職場や学校など環境が大きく変化したときなどに身体はストレスや疲れを蓄積しやすくなります。
目立った病気に罹患していないにも関わらず、体調が優れない場合は自律神経の乱れもその原因として挙げられます。
多くの人がストレスを抱えやすい季節や環境の節目の際には、漢方で言う「気」が上昇している状態です。
それに伴い血圧が不安定になりイライラしたり、動悸・めまいやふらつきが現れたり、夜に寝付けず不眠症になるといった傾向が見られます。
高齢の方はもちろん、貧血や低血圧になりやすい女性の発症例も増えつつありますが、漢方はそういう方に効果的です。
動悸に効果的な漢方薬の例
のぼせや動悸に加えて、めまいや頭痛・耳鳴りなどの神経系統に支障が出ている方は苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)がおすすめです。
上半身における水分の代謝を調整する効果があり、体力が落ちている方に有効な漢方です。
心身ともに疲労して、貧血などで血色が悪い場合は加味帰脾湯(カミキヒトウ)が良いでしょう。
血を補って精神を安定させるなど、不眠症を改善します。
同様に疲労や心労によるストレスを和らげて、神経症を解消するなら酸棗仁湯(サンソウニントウ)が良いです。 全身の調和を整えて、精神を安定させる効果があります。
また不眠に加えて手足のほてりや不安感の強い方には、天王補心丸(テンノウホシンガン)が良いでしょう。
高齢の方もしくは高血圧傾向にある方で、痛みが伴ったり血流に不安があったりする場合は冠心逐瘀丹(カンシンチクオタン)が適しています。
動悸を感じたときに注意すべきこと
動悸を感じた際の注意点として、原因の切り分けが挙げられます。
心臓を中心とした疾患によって引き起こされるものなのか、疲労や精神的なストレスつまり体調によるものなのかを特定することが先決です。
心不全や不整脈をはじめとした病状は、西洋医学による根本治療が必要となります。
一方、疲労やストレスといったメンタル面の西洋医学の治療薬は効果が強く、眠気を伴ったり副作用が大きかったりと、自己による調整が困難です。
生薬を中心とした漢方薬は西洋医学の薬品ほどの即効性こそないものの、身体への負担を最小にしつつ長期的な治療を可能とします。
依存性も少なく、病状が改善した際に薬の減量や中止をしやすいのも大きな利点と言えるでしょう。
西洋薬の併用が可能という柔軟性も、メリットの1つです。
おわりに
漢方では心と身体は別のものではなく一体となっていると考えられており、病状の改善はもちろん心や疲労からくる現象の解消にも適しています。
発現している病状だけでなく、一人一人それぞれの体質や体力に見合った治療薬を処方することが重要です。そのため可能であれば独断で購入するよりも、信頼できる漢方専門の薬剤師や医師に相談することを強くおすすめします。
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