しみに効果のある漢方薬のご紹介
漢方では、しみの原因は、血行が悪く肌に十分な栄養が供給されていないためと考えます。そして、血が不足していると、血行が悪くなるとも考えます。血の不足と血の巡りの悪さが同時にある場合はまず血を補うのが基本です。また、血が不足していなくても冷えや運動不足などで血の巡りが悪いケースがあるため、そのときは血の巡りのみを治療します。血を補いつつ血の巡りをよくする漢方薬もあるため、状態に合わせて使うのが基本です。
シミに加えて乾燥肌もある
乾燥肌は血虚の証拠です。血を補って治療します。
四物湯(しもつとう)
血を補う漢方薬の基本です。血を補う生薬3つに、血の巡りをよくする生薬が1つ入っています。多くの漢方薬が四物湯を含みます。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
四物湯に、体力(気)を補う生薬と巡りをよくする生薬を足したものです。血は気から生まれるとされるので、血だけでなく体力も不足している場合はこちらが向いています。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
四物湯の血を補う生薬に、気を補う生薬と巡りをよくする生薬などを足したものです。十全大補湯と似ていますが、不眠や不安がある場合は人参養栄湯のほうが向いています。
血行が悪い
乾燥肌や貧血がなく、シミや肩こりに悩まされている場合は、血の巡りが悪いのみです。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の巡りをよくするときによく使われる漢方薬です。血の巡りの悪さ由来の生理痛や肌荒れにも使われます。あくまで血の巡りをよくするだけで、血を補う生薬や気を補う生薬は入っていないため、血の不足や気の不足がある場合は別の漢方薬を使いましょう。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
桂枝茯苓丸に、肌荒れの改善によく使われるハトムギ(薏苡仁よくいにん)を足した漢方薬です。肌荒れやにきびによく使われます。
折衝飲(せっしょういん)
桂枝茯苓丸に、血の巡りをよくする生薬複数を組み合わせた漢方薬です。血の巡りの悪さ由来の生理痛や、産後の悪露をスムーズに排出するのに使われます。
通導散(つうどうさん)
ひどい打ち身などでアザなどが残った場合に、血の巡りをよくして治す漢方薬です。あくまで血の巡りをよくするだけで、血を補う生薬は入っていないため、血の不足や気の不足がある場合は別の漢方薬を使いましょう。また、下剤となる生薬が入っているため、体が弱い人や体が冷えている人には向いていません。
冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)
血の巡りをよくする生薬に、体の巡りをよくする生薬を足した漢方薬です。高血圧や心疾患にも使われます。
血を補いつつ血の巡りをよくする
血虚を改善しつつ血の巡りをよくする漢方薬もあります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を補い巡らせる生薬に、胃の弱さを改善する生薬と余計な水分を出す生薬を足したものです。貧血でむくみがちな人に向いています。
温経湯(うんけいとう)
四物湯のメイン生薬に、体の潤いを補う生薬と血の巡りをよくする生薬を足した漢方薬です。 乾燥肌や不正出血にも使われます。
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
折衝飲に、血を補う生薬と体の巡りをよくする生薬を足した漢方役薬す。産後の女性に向いています。
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
芎帰調血飲にさらに生薬を足し、体力のない女性や産後の女性に、血を補いつつ血の巡りをよくするようにした薬です。
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)
四物湯に、血の巡りをよくする生薬と体の巡りをよくする生薬を複数足したものです。高血圧の頭の重さや肩こりによく使われます。
食欲がなく乾燥肌な場合
血を作るには、血の材料となる生薬や食材を、十分に消化吸収することが必要です。食欲がなく血も足りない場合、まず胃腸を立て直して、血の材料を消化吸収できる体を作ります。消化吸収力を上げる漢方薬を紹介します。
帰脾湯(きひとう)
食欲がなく貧血の場合によく使う漢方薬です。胃腸を強くする生薬と、胃腸にそれほど負担なく血を補う生薬が入っています。やる気が出ずボーッとしてしまう場合に使う薬です。
加味帰脾湯(かみきひとう)
帰脾湯にイライラやのぼせによい生薬を足した漢方薬です。一般にはこちらのほうが手に入りやすくなっています。
四君子湯(しくんしとう)
胃がとても弱く食欲がない場合によく使う漢方薬です。消化吸収力を高め、栄養の吸収をよくします。血を作る元である気を補う働きもあります。
六君子湯(りっくんしとう)
四君子湯に胃の動きをよくする生薬を足した漢方薬です。胃もたれしやすい人に向いています。ただ、あまりに胃が弱く胃を動かす力もない場合は、四君子湯のほうが向いています。
人参湯(にんじんとう)
冷えていて消化吸収力が落ち、下痢している人向けの漢方薬です。お腹を温めつつ胃に力をつけます。
しみは漢方薬局に相談してみよう
すでに沈着してしまったシミの治療にはレーザー治療などもありますが、これからシミのできない体を作るには漢方が効果的です。
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
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