ストレスに使う漢方薬
誰しもストレスはあるものです。ストレス過多な時は、ストレスの原因に対処することが一番大事ですが、うまくやりすごすしか出来ない時もあります。
また、心身が大変なら、心身をまず治さないとどうにもならなりません。ここでは、ストレスで出やすい症状・なりやすい体質を漢方の観点から解説します。また、ストレスに対処する漢方薬や食材を症状別に紹介します。
この記事の目次
ストレスで出やすい症状(なりやすい体質)
漢方では、ストレスがたまると体の気の巡りが悪くなり、「気滞」と言う状態になりやすいと考えます。気滞だと、臓器や組織の動きが悪くなって体の機能に支障が出ます。気滞の症状には、主に以下があります。
- 憂鬱
- イライラ
- 胸苦しい
- お腹の張り(腸にガスがたまり、ガスを出すと楽になる)
- 胸や脇腹の張ったような痛み
- 生理前の過食
- 喉に梅の種が詰まったような違和感
これらには漢方薬がおすすめです。また、普段の生活に気をつけ、食事や運動に気をつけると、漢方薬がより効果を発揮します。
ストレスにおすすめの漢方薬
症状に合わせて、ストレスにおすすめの漢方薬を紹介します。体質や症状によっては、これら以外の漢方薬が使われることもあります。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
気持ちが不安定でイライラしたり落ち込んだりする人向けです。気の巡りだけでなく、気の巡りが悪くなるに従って悪くなった血の巡りと水の巡りもよくします。
抑肝散(よくかんさん)
怒りっぽくて頭痛やめまいがある人向けです。胃がもたれがちな人には、胃の動きを良くする生薬を足した抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)が使われます。
大柴胡湯(だいさいことう)
体力があり、イライラ・のぼせのある人向けです。ダイエットにも使われる漢方薬ですが、体力がなかったり胃腸が弱かったりする人には向きません。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
イライラや考え事で眠れない人に向きます。体力が普通程度の人向けです。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯が向く人で、体力がない人向けです。上半身が熱いのに足が冷えるような人の上半身を冷やし、下半身を温めます。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
体力充実して便秘がちで、イライラが激しい人向けです。便を出すことによって体の巡りをよくします。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉になにか詰まったような感覚がある人向けです。シソや厚朴など、香りのよい生薬が含まれているので、胸と気持ちがすっとします。
薬膳から見たおすすめ食材
気の巡りをよくすることを理気といいます。薬膳では理気の食材を使います。手に入りやすい理気の食材を箇条書きで紹介します。
イライラがあるなら冷やす食材、落ち込みがあるなら温める食材がおすすめです。
冷やす食材にはA、温める食材にはBをつけています。
また、理気の一緒にとるとおすすめの食材も症状ごとに紹介しますので是非ご参考にしてください。
理気の食材は以下です。
- オレガノ B
- しそ B
- タイム
- 玉ねぎ B
- チャービル B
- にんにくの茎 B
- バジル B
- ピーマン B
- 三つ葉
- みょうが B
- レモンバーム(メリッサ)A
- ローリエ B
- きんかん B
- グレープフルーツ A
- シークワーサー A
- すだち
- 文旦 A
- みかん A
- みかんの皮 B
- ゆず皮 B
- ライチ B
- かじきまぐろ B
- フェンネルシード(ういきょう)B
- カルダモン B
- クミン B
- ターメリック B
- ナツメグ B
- 八角 B
- カモミール A
- ジャスミン B
- ローズ B
- ラベンダー B
イライラには、理気の食材と合わせて以下の食材をとるのがおすすめです。
- アロエ A
- 菊の花 A
- クレソン A
- ししとうがらし B
- せり A
- セロリ A
- 豆苗
- トマト A
- マッシュルーム
- パパイア
- あなご B
- くらげ
落ち込みには、理気の食材と合わせて以下の食材をとるのがおすすめです。
- 穀類
- 芋類
- 大豆製品
- きのこ類
- アスパラガス A
- カブ B
- かぼちゃ B
- アボカド A
- ココナッツ
- さくらんぼ
- なつめ
- パイナップル A
- ぶどう
- カカオ
- あなご B
- いわし B
- うなぎ
- エビ B
- かつお
- 鮭 B
- サバ B
- タコ A
- タラ
- ブリ B
- マグロ B
お腹の張りには、理気の食材と合わせて以下をとるのがおすすめです(これらはすべて温める食材です)。
- なた豆
- カブ
- 木の芽
- ししとうがらし
- 高菜
- にんにく
- みょうが
- レモングラス
- 赤貝
- 鮭
- カルダモン
- クローブ
- 山椒
- 花椒
- ナツメグ
気滞の養生
生活に気をつけることも大事です。理気のためには、生活によい香りを取り入れるといいでしょう、好きな香りのハーブティーを飲んだり、アロマオイル、香水、入浴剤を使ったりしましょう。
アロマイオルや香水は、好きな香りがあればそれが一番おすすめです。特に好きな香りが思いつかない場合は、漢方において全般的に理気にいいとされる柑橘系の香りをおすすめします。オレンジスイートやグレープフルーツ、レモン、ゆずなどが比較的安く手に入りやすいアロマオイルです。外で運動したり、大声で歌ったりするのも気の巡りをよくします。
まとめ
普段の生活からストレスを溜め込まないようにしましょう。
漢方薬はストレスで起こる不快な症状を改善します。
何でもお気軽にご相談下さいませ。
加美漢方薬局