不安を感じるときに効く漢方薬
わけもなく不安だったり、不安が高じてパニック症状になってしまったりする人はいます。漢方では、不安は、体力がなくて思い悩む場合と自律神経の乱れの場合に大きく分けられると考えます。
漢方薬は場合別に使い分ける必要があります。不安に使う主な漢方薬を場合別に紹介します。
体力がなくて思い悩む場合の漢方薬
体力がない人向けの漢方薬を使う必要があります。
帰脾湯(きひとう)
やる気が出ない、気力が出ない、ぼーっとしてしまうという人に、胃腸に力をつけたり血を補ったりして気力体力をつけさせる漢方薬です。眠りやすくする作用もあるので、不安で夜なかなか寝付けない人に使う場合もあります。
加味帰脾湯(かみきひとう)
帰脾湯にのぼせやイライラによい生薬を足したものです。帰脾湯を使うのに向いている、気力体力のない人で、イライラやのぼせがある人について、体の熱を取って気分を安らげます。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
夜泣き、情緒不安定、ヒステリー、不眠によく使われる甘い漢方薬です。体の緊張を緩め気持ちを安らげます。生あくびが多い人に向いています。また、この薬が向く人は甘いものが好きな場合が多いですが、この薬を飲むなら甘いものは控えたほうが効きがよくなります。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
疲れすぎて逆に眠れない人向けの漢方薬です。疲れ切って寝すぎる場合にも使われます。眠りの質をよくし、寝ている途中で目覚めにくくしたり、途中で目覚めてもすぐまた眠りにつけるようにしたりする漢方薬です。疲れすぎると体が熱を持つ場合があるのですが、それを潤して冷やしつつ、気分を安らげます。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
上半身がのぼせているけれど下半身が冷えている、神経が疲れている、眠れない、というときによく使われます。上半身の熱を取ってストレス症状を和らげつつ、下半身を温める薬です。また、上半身に偏っている熱を下半身にも巡らせる作用があります。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
体を温めて巡りをよくしつつ、気持ちを安らげる漢方薬です。陰部の湿疹・脱毛・フケなどにも使われますが、これは漢方において気持ちを安らげるやり方と毛髪や陰部を治療するやり方が共通しているためです。
神経が高ぶる場合の漢方薬
体力がなくて思い悩むのではなく、神経が高ぶって不安になる場合もあります。それはまた別の漢方薬を使います。
抑肝散(よくかんさん)
怒りっぽさやイライラを改善する漢方薬です。子供の夜泣きにも使われます。神経の高ぶりを鎮め、気持ちを和らげる作用があります。認知症で怒りっぽくなっている人によく使われますが、老若男女のイライラ・怒りっぽさに使える薬です。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
抑肝散に胃を健康にする生薬を足した漢方薬です。胃腸にあまり自身がない人や、抑肝散を長期に渡って飲み続けたい人には、こちらの方が向いています。陳皮(ちんぴ)というのはみかんの皮を乾燥して長期間保存したものですが、漢方では柑橘類の皮には気の巡りをよくしてストレス症状を和らげる作用があると考えています。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
生理前症候群(PMS)や更年期症状によく使われる漢方薬です。気の巡りをよくすることでイライラや落ち込みを和らげ、ストレス症状を和らげます。また、血と水の巡りもよくするので体全体の巡りがよくなり、血行不良や胃に溜まった水による気持ち悪さが改善する場合があります。体の巡りをよくし。上半身の熱を取り、熱を下半身にも回すので、上半身ののぼせにも使われます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
高血圧の人の不眠や不安に使われる漢方薬です。ストレス症状を和らげて気持ちを鎮めます。便秘がちな人に向いている薬で、逆に下痢気味の人には向きません。また、体力がない人の場合は柴胡桂枝乾姜湯のほうが向いています。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
ストレスで喉になにか詰まったような感じがする人向けの薬です。ストレスによる喉のつまり感は、ヒステリーボール、または梅核気(ばいかくき)と言います。梅の種が喉に引っかかったような具合なためです。この喉のつまり感は、ストレス症状を和らげつつ胃の動きをよくすることで改善する場合が多く、半夏厚朴湯は胃を動かす生薬とストレス症状を和らげる生薬をバランスよく配合しています。
温胆湯(うんたんとう)
体の余計な水分と熱を除くことで、不安や憂うつを和らげる漢方薬です。どっしりおちついて決断力があることを「肝が据わる」と言いますが、温胆湯は肝が座るのと逆の状態、決断力がなく落ち着かない場合に使います。
竹筎温胆湯(ちくじょううんたんとう)
温胆湯に、気の巡りをよくしたりストレス症状を和らげたりする生薬などをさらに足したものです。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
強力に体の熱をとり炎症を鎮める漢方薬です。漢方では、神経の高ぶりにより体に熱が発生すると考えるので、その体の熱を強力に冷やす薬です。アトピーなど皮膚の炎症にも使われます。
その他の漢方薬
不安やパニックなどでめまい・立ちくらみが起こる場合があります。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
体に余計な水分が溜まってめまいを起こしやすくなっている人向けの漢方薬です。むくみを取ることで三半規管などのむくみもとり、めまいを改善します。
不安を改善するには漢方薬を適切に使い分けよう
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
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