加美漢方ブログ
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漢方薬

乾燥肌の方におすすめの漢方薬

秋から冬にかけて肌が乾燥しやすくなります。ただ、秋冬以外にも肌の乾燥に悩まされているなら、体質改善が必要かもしれません。漢方は体質改善によいです。漢方から見た乾燥肌になりやすい体質ふたつと、それぞれの体質によい漢方薬を紹介します。

乾燥肌になりやすい体質

血虚

血が足りない体質です。貧血で鉄が足りないというわけではなく、血液が含む栄養(タンパク質・ビタミン・ホルモンなど)やホルモンが足りていない状態を指します。血虚だと、以下の特徴があります。

  • 顔色が青白い
  • 唇の色や爪の色が薄い
  • 目・皮膚が乾燥
  • めまい・立ち眩み
  • 不眠もしくは夢が多い
  • 生理の出血量が少ない
  • 舌の色が薄く舌が痩せている

陰虚

体液や体の潤いが足りない状態です。陰虚だと、以下の特徴があります。

  • 頬が赤く熱い
  • 痩せている
  • ほてり・のぼせがあり、暑がり
  • 手足の裏がほてる
  • 冷たい飲食物が好き
  • 寝汗が多い
  • 唾液が少なく喉が渇く
  • 舌の色が赤く舌が痩せている

乾燥肌によい漢方薬

体質によって細かく漢方薬を使い分けます。

血虚

食欲があり胃腸に問題ない場合

血虚によく使う生薬「地黄」(じおう)は胃に持たれる場合があります。地黄を含む漢方薬を使う場合は消化機能に問題がないかをチェックします。

四物湯(しもつとう)

血虚に使う基本の漢方薬です。地黄など、血を補う生薬3つに血を巡らせる生薬ひとつでできています。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

乾燥肌だけでなく、気力・体力を補うのによく使われます。気(体を温め動かすエネルギー)から血は生まれると考えられており、気が不足して血虚になっている人も多いので、気を補う漢方薬に四物湯を合わせ、補助の生薬を足した漢方薬です。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)

十全大補湯によく似た生薬構成ですが、気持ちに不安があったり、不眠があったりする人により向いた生薬構成です。

温清飲(うんせいいん)

肌の乾燥に炎症を伴う場合や、アトピーに使われます。四物湯に、体の熱を取り炎症を沈める漢方薬「黄連解毒湯」(おうれんげどくとう)を足した漢方薬です。不正出血などにも使われる漢方薬です。

当帰飲子(とうきいんし)

肌に痒みがある場合によく使われる漢方薬です。血を補いつつ血の巡りをよくし、皮膚を強くします。

食欲がない場合

胃腸が弱く食欲が無い場合は、消化機能に問題があると考え、地黄を含まない漢方薬を使います。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

血を補いつつ血の巡りをよくし、穏やかに体を温める漢方薬です。生理痛や貧血によく使われます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

夏バテや食欲不振によく使われる漢方薬ですが、血を補う生薬も含んでいます。また、胃腸に力をつけ消化吸収能力を高めるので、食べ物の吸収がよくなり、血を作る栄養分を吸収しやすくします。

四君子湯(しくんしとう)

補中益気湯も受け付けないほど胃腸が弱い場合の漢方薬です。基本的に、胃腸に力をつけ消化吸収力を高める漢方薬ですが、血を作る栄養分を吸収しやすくすることで血虚を改善できます。補中益気湯や四君子湯をしばらく飲んでから地黄を含む漢方薬を使う場合もあります。

陰虚

陰虚にも地黄がよく使われます。消化機能に問題がない場合は地黄入り漢方薬が使えます。

食欲がある場合

六味丸(ろくみがん)(別名:六味地黄丸ろくみじおうがん)

陰虚及び腎虚(成長・生殖エネルギーの不足)に使う基本の漢方薬です。これ自体をそのまま使うことはあまり多くないですが、他のさまざまな漢方薬の基本骨格になっています。

知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

陰虚でほてりとのぼせが強く出ている人の漢方薬です。陰虚にいい六味丸に、体の熱を取り冷やす生薬を足したものです。

味麦地黄丸(みばくじおうがん)

より陰虚を改善する作用が高い漢方薬です。六味丸は主に腎の水を補いますが、その六味丸に体を潤す生薬がさらに足され、体全体を潤します。

杞菊地黄丸

陰虚で目が乾き、充血している人向けの漢方薬です。目を滋養する生薬と目の充血を取る生薬が六味丸に足されています。

食欲がない場合

地黄を含まない漢方薬を使います。潤す生薬には、麦門冬(ばくもんどう)、人参(にんじん)があり、潤いを産みつつ潤いを留める生薬に五味子(ごみし)があるので、それらを組み合わせます。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

陰虚で気管支と肺が乾き、空咳が続く場合によく使われます。単に咳症状に使われる場合も多いですが、ゆるい痰が大量に出る咳は陰虚ではないので、麦門冬湯は向いていません。

清暑益気湯(せいしょえっきとう)

夏バテによく使われる漢方薬ですが、潤いを補いつつ体を冷やす作用が強いです。人参、麦門冬、五味子を含んでいます。熱中症予防にも使われるので、水分をこまめに取りつつ使うのがおすすめです。

生脈散(しょうみゃくさん)

体に水を補うことだけを考えた漢方薬です。麦門冬湯、人参、五味子の3つだけからできています。熱中症予防の漢方薬として有名ですが、シンプルな構成で胃腸に持たれる生薬を浸かっていないので、広く多くの人に使えます。

それ以外の乾燥肌

さめ肌も乾燥肌に数えられる場合がありますが、さめ肌は陰虚や血虚だけでなく、血瘀という血の巡りが悪い状態がメインの原因です。血瘀によい桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)などが向いています。血瘀と血虚・陰虚が併発する場合もあるので、その場合はまず血虚・陰虚を直してから血瘀に対処するか、漢方薬を複数使って同時に対処します。

まとめ

乾燥肌は、漢方から見ると複数の原因があります。
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。


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