冷え症(気虚)に効く漢方薬のご案内
冷え症にはいくつかタイプがあります。
冷え症のタイプ別におすすめの漢方薬と養生法を4週に渡ってご紹介します。
今回取り上げる冷え症は、体を温めるエネルギーが足りないタイプの冷え症です。
体を温めるエネルギーのことを漢方では気というので、気が足りないことを漢方では気虚と呼びます。気虚の冷え症は、気を補って体を温める漢方薬で対処します。
この記事の目次
気虚の冷え症に使う漢方薬
気虚の冷え症でも、胃腸の強さや冷え方によって漢方薬を使い分けます。
胃腸が弱い人向け
四君子湯(しくんしとう)
胃腸に力をつけ、消化吸収力を高めて栄養から気を作りやすくする漢方薬です。メインの生薬は高麗人参です。四君子湯は、胃腸に力をつける漢方薬で一番シンプルなものなので、他の全く違う名前の漢方薬にまるごと含まれている場合がよくあります。
六君子湯(りっくんしとう)
四君子湯に胃の動きをよくする漢方薬を足した薬です。胃が弱くもたれやすい人に使います。
人参湯(にんじんとう)
お腹が冷えて下痢する人によく使います。よく気を補う生薬、高麗人参が体を温めるエネルギーを補い、蒸し乾燥しょうがが体を強力に温めます。この2つがお腹を強く温めつつ気を補います。
桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
人参湯にシナモンを足した漢方薬です。体の中心やお腹が冷えているけれど発熱・下痢がある、などのときによく使います。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体に気を補いつつ、冷えの原因になる体の余計な水を出す漢方薬です。黄耆(おうぎ)という生薬がおおいに気を補いつつ、体から尿として余計な水を出します。ダイエットによく使われる漢方薬ですが、基本は気を補って余計な水を尿で出します。多汗症にもよく使われます。
苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)
腰から下が水に浸かったように冷える人向けの漢方薬です。茯苓(ぶくりょう)と白朮(びゃくじゅつ)という生薬が気を補いつつ体の余計な水を出し、蒸し乾燥しょうがが強力に下腹を温めます。
胃腸に問題ない人向け
帰脾湯(きひとう)
やる気が出ずぼーっとしてしまう、疲れて寝付きにくい、という人向けの漢方薬です。高麗人参や白朮が気を補ってやる気や体力をつけつつ、体を温めるエネルギーを補います。
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯が向いている人で、イライラやのぼせもある場合に使います。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
食欲や体力がなく疲れやすい人向けの漢方薬です。高麗人参・黄耆・白朮などが強力に気を補います。夏バテにも効果を発揮します。
清暑益気湯(せいしょえっきとう)
補中益気湯をさらに夏バテ向けにしたバージョンです。気を補うだけでなく、汗をかいて足りなくなった体の潤いを補います。普段から体に潤いが足りず、気も不足している人は夏以外もおすすめです。
冷えてお腹が痛む人向け
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
体を温めつつ、お腹の筋肉の緊張を和らげて腹痛を和らげる漢方薬です。気を補う作用も持ちます。子供によく使われる漢方薬ですが、体質と症状が合えば大人が使っても問題ありません。甘くシナモン風味の漢方薬なので飲みやすいです。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
小建中湯と似た作用の薬です。体を温めつつお腹の緊張を和らげます。気を補う作用は小建中湯のほうが強いです。
大建中湯(だいけんちゅうとう)
花椒と蒸し乾燥しょうがでお腹を強力に温めて腸の動きをよくし、高麗人参で胃腸に力をつけ気を補う漢方薬です。腸が冷えて動きが悪くなっているときに使うので、冷えたせいであれば下痢にも便秘にも効きます。手術後に腸の動きが悪くなるのを防ぐのにも使います。
気虚の冷え症の養生法
衣服を工夫して、体を冷やさないことを心がけましょう。
手首・足首・首は、太い血管が体表を通っていて血液から体が冷えやすいので、しっかりと防寒しましょう。汗をかきすぎない程度に運動に励み、体を温めましょう。しかし、汗をかくと気を消耗するため、汗をかきすぎる激しい運動は避けましょう。同じく、汗をかきすぎるため、サウナや岩盤浴は避けましょう。気虚だと消化吸収機能が落ちている場合が多いので、食事は消化しやすいものをよく噛んで食べましょう。
気虚の冷え症におすすめな薬膳食材
薬膳は普通のスーパーで手に入る食材で作れます。
普通のスーパーで手に入る、気虚の冷え症におすすめの食材を紹介します。
これらの食材を、消化しやすくあっさりした味付けで食べるのがおすすめです。よく煮込んだスープや油脂が少ない蒸し物が適しています。
気を補う食材
- 穀類
- イモ類
- 大豆
- 豆腐
- 納豆
- あさつき
- アスパラガス
- エシャレット
- 枝豆
- えんどう豆
- かぶ
- かぼちゃ
- 黒きくらげ
- いんげん豆
- さやいんげん
- きのこ類
- そら豆
- にんにくの茎
- モロヘイヤ
- アボカド
- ココナッツ
- パイナップル
- ぶどう
- ココア
- あなご
- イワシ
- うなぎ
- エビ
- カツオ
- 鮭
- サバ
- さわら
- タコ
- タラ
- ニシン
- ハゼ
- ブリ
- ボラ
- マグロ
- 牛肉
- 鶏肉
- 豚肉
- うずらの卵
お腹を温める食材
- なた豆
- かぶ
- 木の芽
- ししとうがらし
- 高菜
- にんにく
- みょうが
- レモングラス
- わさび
- えごま
- 赤貝
- 鮭
- ニシン
- ハゼ
- マス
- 鶏肉
- 羊肉
- からし
- カルダモン
- クローブ
- 山椒
- 花椒
- ナツメグ
冷え症は漢方で治そう
冷え症など、西洋医学的には特に原因がわからないけれど不調、という状態を治すのに漢方が向いています。
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
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