加美漢方薬局が選ぶ、冷えにおすすめの漢方薬5選冷え性の基本漢方
漢方では、冷えにはさまざまなタイプがあると考えます。温めるエネルギーがないならエネルギーを補給する漢方薬を、巡りが悪くて手足が冷えるなら巡りをよくする漢方薬を使うのです。タイプ別の冷え改善漢方薬を紹介します。
この記事の目次
体力がない
温めるエネルギーがないタイプです。胃腸に負担がかからない漢方薬を使います。
苓姜朮甘湯（りょうきょうじゅつかんとう）
構成生薬：乾姜（かんきょう）・茯苓（ぶくりょう）・白朮（びゃくじゅつ）・甘草（かんぞう）
腰が冷えて重く痛い場合に使う漢方薬です。腰が水に浸かっているように冷えて重い、という時に合います。乾姜は内臓を温め冷えによる痛みを鎮める生薬です。茯苓と白朮は体に溜まった余分な水分（冷えの原因）を尿として外に出します。甘草は茯苓の働きを強め、乾姜の刺激性を弱める生薬です。
六君子湯（りっくんしとう）
構成生薬：人参（にんじん）・白朮（びゃくじゅつ）・茯苓（ぶくりょう）・半夏（はんげ）・陳皮（ちんぴ）・甘草（かんぞう）・生姜（しょうきょう）・大棗（たいそう）
主に胃腸に元気を付け、体力を補うために使う漢方薬です。胃がもたれやすく、食が細い人に合います。人参と白朮は胃腸に力をつけ消化吸収力を高めます。茯苓は胃の余分な水分を取り胃腸の働きを助ける生薬です。半夏と陳皮は胃の動きをよくします。生姜と大棗は胃を温めて健康にする生薬です。甘草は各生薬を調和させ、胃に力をつけます。
血行が悪い
体は十分に熱を作っているけれど、血行が悪くて手足に血が巡らず熱を運んでいない場合があります。血行をよくする漢方薬を使います。
桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）
構成生薬：桃仁（とうにん）・牡丹皮（ぼたんぴ）・桂枝（けいし）・芍薬（しゃくやく）・茯苓（ぶくりょう）
血行不良による冷えに使う漢方薬です。下半身の血行を特によくします。桃仁と牡丹皮は強力に血の巡りをよくします。桂枝は体を温めて血の巡りを良くする生薬です。芍薬は血を補って血行をよくするのを助けます。茯苓は胃に溜まった余計な水を尿として出す生薬です。血行が悪いと水分代謝も悪くなるので、悪くなった水分代謝を改善するために入っています。桂枝茯苓丸は妊娠中飲むべきでない生薬が含まれているので、妊娠の可能性がある場合は使用を避け、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
ストレス
ストレスによる手足の冷えには、気の巡りをよくしてリラックスさせる漢方薬を使います。
加味逍遙散（かみしょうようさん）
構成生薬：柴胡（さいこ）・当帰（とうき）・芍薬（しゃくやく）・白朮（びゃくじゅつ）・茯苓（ぶくりょう）・生姜（しょうきょう）・薄荷（はっか）・山梔子（さんしし）・牡丹皮（ぼたんぴ）・甘草（かんぞう）
ストレスで眠れなかったり気分が良くなかったりする場合に使う漢方薬です。柴胡と薄荷で気の巡りを良くし、リラックスさせます。芍薬・当帰は血を補って体を整える生薬です。白朮・甘草・生姜は胃を健康にして他の生薬や栄養の吸収をよくします。山梔子はイライラによる体の熱を取る生薬です。牡丹皮は血の巡りをよくします。妊娠中飲むべきでない生薬が含まれているので、妊娠の可能性がある場合は避け、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。
腰痛
冷えにより腰が痛む場合は、腎精を補う漢方薬を使います。
牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）
構成生薬：地黄（じおう）・山茱萸（さんしゅゆ）・山薬（さんやく）・茯苓（ぶくりょう）・桂皮（けいひ）・牡丹皮（ぼたんぴ）・沢瀉（たくしゃ）・牛膝（ごしつ）・車前子（しゃぜんし）・附子（ぶし）
腰の冷え・重さ・頻尿によく使う漢方薬です。精力が弱って体の芯が冷えていると合うことが多いです。地黄・山茱萸・山薬は腎精を補います。茯苓・沢瀉・車前子は冷えの原因である余計な水分を尿として外に出します。桂皮と附子は全身を温める生薬です。牡丹皮は血の巡りをよくします。牛膝は筋骨を強くし他の生薬の効能を下半身に導く生薬です。地黄は胃に持たれやすいので、胃腸に問題がない場合に飲み使える薬です。
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冷え性改善は漢方の得意分野であり、冷え方と体質に合わせて多くの漢方薬を使い分けます。
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