咳止めに使える漢方薬のご紹介
続くせきは煩わしく、また、体力を消耗します。
漢方薬を咳止めに使うと、眠くなりません。ただし、体力の有無やせきの種類によって漢方薬を使い分けることが大事です。体質と症状にあった漢方薬を選ばないと、逆に悪化することがあります。体力に合わせて、せきに使う漢方薬を紹介します。
この記事の目次
漢方から見た体力の有無の見分け方
せきに漢方薬を使うには、体力の有無をよく見分けることが大事です。以下の項目に当てはまるほど、体力がないと考えてください。
- 疲れやすい
- 息切れする
- 食欲がない
- 声が小さい
- 目に力がない
- 汗が出やすい
- 風邪を引きやすい
- 整理周期が短く出血量が多い
- 軟便もしくは下痢
- 舌を出してみると腫れぼったい
- 舌を出してみると両脇に歯の跡がついている
逆に当てはまるものがほとんどなければ体力があります。
体力がある場合の咳止めに使う漢方薬のご紹介
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
気管支を広げて咳を止めつつ痰を出す漢方薬です。喘息にも使われます。
五虎湯(ごことう)
麻杏甘石湯に肺の炎症を取る生薬を加えたものです。麻杏甘石湯より咳や喘息に対する効果が強くなりますが、冷える人や体力のない人にはより向かなくなります。
麻黄湯(まおうとう)
インフルエンザによく使われますが、せきにも効く漢方薬です。発熱と頭痛がある場合に向きます。体力のない人には向きません。また、汗が出て熱が下がりかけたら別の漢方薬に切り替える方がいい薬なので、長く飲むには向いていません。
体力が中程度ある場合の咳止めに使う漢方薬のご紹介
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
ストレスが溜まり、喉になにか詰まった感じがあるときによく使われる漢方薬です。胃の動きをよくして喉の詰まりを取り、せきをしたくなる感覚をなくします。
桂麻各半湯(けいまかくはんとう)
体力がない人の体を温める桂枝湯(けいしとう)と麻黄湯を半量ずつ合わせたものです。麻黄湯があう人より体力がなくても使えますが、やはりある程度体力がないと使えません。
神秘湯(しんぴとう)
せきや喘息に神秘的な効果があるという意味で名付けられた漢方薬です。長く続く咳があり、食べ過ぎだったり喉に詰まった感じがあったりする人に向きます。
竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
不安や不眠によく使われる漢方薬ですが、風邪が長く続いて咳が続くとよく眠れなくなるため、痰を切りつつよく眠らせるのに使われます。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
鼻水の薬として有名ですが、水のような痰が大量に出る強い咳に使われます。体の水分代謝をよくして粘液の分泌を抑える薬です。
柴朴湯(さいぼくとう)
半夏厚朴湯に風邪に使われる漢方薬、小柴胡湯(しょうさいことう)を足した漢方薬です。気分が落ち込みがちで、喉に詰まった感じがある人のせきや喘息に使われます。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
強いからせきや、粘って切れにくい痰に使われます。うるおしたり冷やしたりする生薬を多く含む漢方薬なので、粘膜や皮膚が乾いている人に向きます。
清肺湯(せいはいとう)
長引くひどい咳に使われます。肺をうるおして炎症を取るので、顔全体が赤くなる慢性の咳がある人に向きます。
体力がない場合に咳止めに使う漢方薬のご紹介
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
上半身が熱いけれど下半身が冷えている人で、神経が疲れている人のせきに向きます。肺をうるおす生薬と体の熱の偏りを治す生薬が含まれています。
蘇子降気湯(そしこうきとう)
足腰が冷えているのにのぼせる人の、激しいせきに向いています。体が弱い人や高齢者によく使われます。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
体が内側から冷えている体力虚弱な人向けの風邪薬で、そういう状態の人のせきにも使われます。胃腸が弱い人はまた別の漢方薬が向きます。
滋陰降火湯(じいんこうかとう)
皮膚や粘膜にうるおいが足りず熱を持つ、体力虚弱な人の乾いたせきや切れにくい痰によく使われる漢方薬です。胃腸が弱い人にはあまり向きません。
滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
滋陰降火湯と似ていますが、滋陰降火湯より肌や粘膜の乾燥が少なく、イライラがある人に向いています。加味逍遙散という女性の不定愁訴に使う漢方薬に似ているので、加味逍遙散が合う人のせきにも使われます。
味麦地黄丸(みばくじおうがん)
体力虚弱な高齢者の乾燥したせきによく使われます。体をうるおす生薬と体に精をつける生薬が組み合わせられています。
竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)
熱が下がった後も残るしつこいせきに使われます。体に残る熱を取りつつうるおいを補う漢方薬です。麦門冬湯に似た漢方薬ですが、麦門冬湯より冷やす力が強いです。
参蘇飲(じんそいん)
葛根湯を飲むには体力がない人向けの漢方薬です。体力がなく胃腸が弱い人にも使えます。熱や頭痛があってボーッとする人のせきや痰にいいです。
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにとう)
体力がなく胃腸が弱い人で、水のような痰が多い人に向きます。小青竜湯を使うには体力が虚弱すぎる人の漢方薬です。
体力に関わらない咳止め漢方薬
甘草湯(かんぞうとう)
せきとのどの痛みにいい生薬「甘草」のみが入った漢方薬です。シンプルなので字体力の有無にかかわらず使えます。
咳と漢方薬のまとめ
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
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