漢方で未病を治そう
漢方(東洋医学)で重要な考え方として「未病」(みびょう)があります。これは、西洋医学では対処が難しい概念です。逆に、漢方など東洋医学なら未病に対処しやすくなります。ここでは、未病について紹介します。未病に使われる漢方薬もいくつか紹介します。
この記事の目次
未病とは
人の心身は、健康と病気の間で揺れ動いています。
「未病」とは、「未だ病気ではない」状態ですが、病気になりやすい状態のことです。未病では、発病には至らないものの、不調などの兆候があります。
未病は2つに分けられます。
- 自覚症状はないが検査で異常あり(西洋医学的未病)
- 自覚症状はあるが検査では異常なし(東洋医学的未病)
単に未病というと、東洋医学的未病を指すことが多いですが、日本未病学会では、どちらも未病としています。
西洋医学的未病
西洋医学的未病は、不調を感じないものの、血糖値やコレステロールに異常があるなどです。
糖尿病(高血糖)も、それによる不調を本人が感じていなければ未病です。
日本未病学会でも、糖尿病は合併症がないかぎり未病とすべきとしています。
高血圧は脳血管障害の未病であり、骨粗鬆症は骨折のもととなる未病です。
東洋医学的未病
東洋医学的未病は、不調の自覚症状があります。
- だるい
- 疲れやすい
- 冷える
- 眠れない
- 食欲がない
- 頭痛
などです。気分が悪い、なんだか普段と調子が違う、なども東洋医学的未病です。
しかし、東洋医学的未病は、検査しても特に異常はありません。
東洋医学的未病は、西洋医学では健康とみなされます。ですが、放置しておくと病気に発展しがちです。何より、不調があると不快です。何らかの対処をすべき状態ではあります。
予防医学と未病
未病は、放置しておくと病気に発展する可能性があります。一度病気になると、治療が大変で、治るまでに時間がかかります。しかし、未病の段階で対処すれば、楽に早く治せます。未病の時期に治すことが大事であり、これを未病先防といいます。
病気になってから治療をするより、未病の段階で対処して健康を保つべきという考えは、漢方のもととなった中国の伝統医学に古くからありました。2000年以上前の中国の書物『黄帝内経素問』(こうていだいけいそもん)に「聖人は未病を治す」とあります。このころから、未病の段階で対処し病気を予防することが大事だと考えられていたのです。
健康寿命(自分で生活できる寿命)を伸ばす医学としても、予防医学が大事とされています。神奈川県は、未病に対処することで健康寿命を伸ばす試みをしています。
未病には漢方がおすすめ
未病、特に東洋医学的未病は、検査をしても異常がないため、西洋医学的治療が難しいです。しかし、漢方は、明らかな異常がなくても、症状と体質から判断して対処できます。だるい、疲れやすい、食欲がない、冷え性、肩こり、頭痛などにも漢方薬が使えます。
だるい・疲れやすい・食欲がない時におすすめの主な漢方薬
- 四君子湯(しくんしとう)
- 帰脾湯(きひとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
上にいくほど胃腸が弱く食欲がない人向けの漢方薬です。
冷え症におすすめの主な漢方薬
- しもやけになりやすい:当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
- のぼせがある冷え性:加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 肩こりがあって下半身が冷える:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 腰から下が水に浸かったように冷たい:苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
冷え性にはさまざまなタイプがあります。体の熱が足りなかったり、体の循環が悪いためだったり、水分循環が悪いためだったりなどです。それぞれで使う漢方薬が異なります。
肩こりにおすすめの主な漢方薬
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)
- 血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は血行をよくします。下半身の血行を特に良くするので血行が悪くて痛む生理痛にも使われます。
冠心Ⅱ号方(かんしんにごうほう)は体全体の血行をよくします。心筋梗塞にも使われます。
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)は体全体の血行をよくします。高血圧の随伴症状にも使われます。
肩こりには、主に血の巡りを良くする漢方薬を使います。どのように血の巡りが悪いかによって、使う漢方薬は異なります。
頭痛におすすめの主な漢方薬
- 偏頭痛:呉茱萸湯
- 肩こり頭痛(緊張性頭痛):桂枝茯苓丸、冠心Ⅱ号方
- 偏頭痛:呉茱萸湯
- 気圧による頭痛:五苓散
漢方では頭痛の原因を細分化して考えます。症状や体質から原因を割り出し、適した漢方薬を選ぶので、ここにある他にも、頭痛にはさまざまな漢方薬が使われます。
まとめ
未病は、病気ではないものの病気になりかけている状態です。未病の段階で対処して治すと楽に治せます。漢方は未病にうまく対処できます。当店では症状と体質を見極めて適切な漢方薬をお合わせ致します。
加美漢方薬局
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