爪の異常（薄い、割れやすい）に効果がある漢方薬のご紹介
爪が薄い・柔らかい・割れやすいなどで悩んでいる人は多いです。漢方では、血虚（血液が含む栄養やホルモンの不足）があると爪が弱くなり、薄くなったり反り返ったりしてしまうと考えます。
実際に、鉄欠乏性貧血がひどいと、爪が反り返ってスプーン爪になることが知られています。爪の改善のために、血虚によく使われる漢方薬を紹介します。
この記事の目次
胃腸が弱くない場合
血を補う生薬のひとつに、地黄（じおう）があるのですが、地黄は胃が弱い人だと胃もたれしていまいます。地黄は血を補う力が高いので、消化機能が弱っていなければ血虚には地黄を含む漢方薬を使います。
四物湯（しもつとう）
血を補う基本の漢方薬です。血を補う時によく使われる生薬、当帰（とうき）をメインに、地黄や血の巡りをよくする生薬などが組み合わせてあります。血虚の特徴として、爪が弱い以外に、肌の色つやが悪い・肌がカサついている・髪がぱさついている・めまい・たちくらみ、などがあるため、爪が弱い以外の症状でもよく使う薬です。漢方薬としてはシンプルな構成なので、四物湯にさらに生薬を足して別の漢方薬にした薬が数多くあります。
十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）
四物湯に、四君子湯（しくんしとう）と言う、エネルギー（気）を補う漢方薬を合わせ、さらに気を補う生薬や巡りをよくする生薬を足した漢方薬です。気血の両方が不足している時によく使います。病後の体力回復や疲労倦怠にもよく使う薬です。
人参養栄湯（にんじんようえいとう）
十全大補湯と似た薬なのですが、血の巡りをよくする生薬が抜かれ、代わりに気持ちを落ち着ける生薬や体を潤す生薬などが加えられています。十全大補湯と同じく、気血の不足・体力回復・疲労倦怠によく使いますが、十全大補湯と違って不安や空咳のある人向けの薬となっています。
芎帰膠艾湯（きゅうききょうがいとう）
四物湯に、止血作用のある生薬と炎症を抑える生薬を足した漢方薬です。女性の不正出血や妊娠中の不調などに使われます。体を温め巡りをよくする作用もある薬です。
当帰飲子（とうきいんし）
四物湯に、かゆみをとる生薬や皮膚を強くする生薬を足した薬です。肌の色つやが悪く、カサついてかゆみがある人によく使います。
芎帰調血飲（きゅうきちょうけついん）
四物湯に、気血の巡りをよくする生薬・体を温める生薬・胃腸を整える生薬を足した漢方薬です。産後の不調（血が不足した上に気血の巡りが悪くなっている）によく使います。
芎帰調血飲第一加減（きゅうきちょうけついんだいいちかげん）
芎帰調血飲にさらに生薬を足し、気血の巡りをよくする作用と体を温める作用をましたものです。産後の不調や、体力のない女性の不調によく使います。
胃腸が弱い
胃腸が弱い場合、地黄を含む生薬は使えません。しかし、当帰は血を補う生薬の代表で、地黄ほど胃に負担をかけないため、当帰を含むけれど地黄を含まない漢方薬で血虚を治療することになります。
当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
当帰をメインに、血に栄養を与える生薬や胃腸を整える生薬を組み合わせた漢方薬です。余計な水を尿として出す働きもあるので、貧血がち・むくみがちで体力がない人に向いています。
補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
気を補う作用がメインの漢方薬ですが、当帰も含んでいるので、血を補う作用もあります。食欲不振・疲労倦怠・病後の回復によく使う漢方薬です。胃腸の消化吸収力を上げて気血を作る栄養を吸収しやすくする薬でもあります。
帰脾湯（きひとう）
気を補う作用がメインの漢方薬ですが、当帰で血を補う作用もあります。疲れてやる気が出ずボーっとしてしまう人に向いています。気を補い、消化吸収力を高めて気血を作る栄養を吸収しやすくします。補中益気湯と似た部分もありますが、帰脾湯はより胃腸を整え気持ちを落ち着ける方向に生薬を組み合わせています。
加味帰脾湯（かみきひとう）
帰脾湯に、のぼせやイライラによい生薬を足した漢方薬です。疲れ果ててイライラやのぼせが起きるケースもあるので、そういう時に向いています。
胃腸がとても弱い場合
胃腸がとても弱い場合、当帰でも胃もたれしてしまうことがあります。気を補い消化吸収力を高める漢方薬で体を整えてから、当帰や地黄を含む漢方薬を使いましょう。血虚の理由が、消化吸収力が低く血を作る栄養を吸収できていないせいだと、胃腸を整えるだけで血虚が改善するケースもあります。
四君子湯（しくんしとう）
気を補い胃腸を元気にする生薬、人参を中心に、胃腸を整え元気にする生薬を組み合わせた漢方薬です。
六君子湯（りっくんしとう）
四君子湯に、胃を動かす生薬や水分吸収をよくする生薬を足した漢方薬です。胃腸が弱く、胃に水がたまって胃もたれする感じがある時に向いています。
爪の弱さは漢方薬で改善できる
爪の弱さは体質と思いがちですが、体質改善が得意な漢方薬で治療できます。多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
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