過敏性腸症候群に使う漢方薬
過敏性腸症候群とは、腹痛や便秘・下痢があり、排便回数や便の形状の異常が数ヶ月以上続く病気です。若いほどなりやすく、女性に多いです。
日常生活に支障をきたすので、命に関わる病気ではありませんが困る病気となります。過敏性腸症候群は、下痢型、便秘型、混合型がありますが、いずれにも漢方薬が適用できます。
過敏性腸症候群に使われる場合が多い漢方薬を紹介します。
この記事の目次
体を温める(下痢にも便秘にも使われる)効果のある漢方薬
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
筋肉のひきつりを緩める漢方薬です。お腹の張りから来る痛みを沈めます。胃腸が非常に弱い場合や、下腹やみぞおちを触ってみて冷えている場合には向きません。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
子供の便秘によく使われる漢方薬ですが、お腹の調子を整え、体力をつけるのにも使われます。桂枝加芍薬湯に膠飴(水あめ)を足したもので、膠飴が体力の補助に役立ちます。これも、胃腸が非常に弱い場合や、下腹やみぞおちを触ってみて冷えている場合には向きません。
大建中湯(だいけんちゅうとう)
腹部膨満感・便秘・手術後の腸の動きをよくする(術後イレウスの防止)に使われます。体の中心を温め、腸を動かす体力を補って腸の動きをよくする漢方薬です。腸を温めて健全に働かせるので、冷えによる便秘にも冷えによる下痢にも使われます。
人参湯(にんじんとう)(別名:理中湯、りちゅうとう)
体の中心が冷えて下痢している人によく使われる漢方薬です。下腹やみぞおちを触ってみて冷えている人に合います。胃腸が弱く食欲がない人にも使えます。
体の中心が冷えて便秘している人に使う場合もあります。冷えがひどい場合は、体の内側を温める生薬をひとつ追加した附子理中湯(ぶしりちゅうとう)が向く場合があります。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
長引く風邪によく使われる漢方薬ですが、過敏性腸症候群にも使われます。ストレス症状を和らげつつ、お腹の張りを緩めます。
巡りをよくする(ストレス症状を和らげる)効果のある漢方薬
加味逍遙散(かみしょうようさん)
生理前症候群や生理痛によく使われる婦人薬ですが、ストレス症状の側面が強い過敏性腸症候群にも使われます。気血水の巡りをよくして、ストレス症状や不定愁訴を鎮めます。
四逆散(しぎゃくさん)
ストレス症状が強く、胸の脇や脇腹が張ったように痛む人に向いています。ある程度体力がある人に用いる漢方薬なので、体力がない人、胃腸が弱くて食欲がない人、下腹やみぞおちを触ってみて冷えている人には向きません。
香蘇散(こうそさん)
体力がない人の風邪や憂鬱感によく使われます。気の巡りをよくしてストレス症状を和らげる漢方薬で、多少胃腸が弱い人にも使えます。下腹やみぞおちを触ってみて冷えている人は人参湯や附子理中湯が合うことが多いです。
甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)
下痢や吐き気があってお腹がなる人で、イライラもある場合によく使われます。胃腸に力をつけつつ胃腸の動きをよくする漢方薬です。中程度以上体力のある人向けの漢方薬です。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
胃腸が張って動きが悪い人の吐き気、下痢、不眠、神経症に使われる漢方薬です。ある程度体力がある人向けの漢方薬です。
虚弱な胃腸に力をつける効果のある漢方薬
六君子湯(りっくんしとう)
胃腸の消化吸収力を上げつつ、胃腸の動きをよくする漢方薬です。食欲がなく胃腸が弱い人に向いています。非常に胃腸が弱く、無理に胃腸を動かすのが向いていない場合は、胃腸を動かす生薬を抜いた四君子湯(しくんしとう)を使う場合もあります。
過敏性腸症候群に向いた食事をご紹介
食物繊維と乳酸菌をとるのが奨励されています。アルコールや香辛料の過剰摂取は避けるべきです。
また、最近では低FODMAP食が推奨されます。FODMAPとは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質をまとめて呼んだものです。
低FODMAP食で避けるべき主な食材は以下です。
- 小麦粉(ラーメン、パン、パスタなど)
- ソーセージ
- はちみつ
- 乳製品(バターとナチュラルチーズを除く)
- アイスクリーム
- チョコレート
- ウーロン茶
- 果糖シロップ
- 濃縮果汁
- 糖アルコール
- ナッツ類
- ガム
- キャンディ
逆に、高FODMAP食で推奨される食材は以下です。
- 米
- もち米
- 十割そば
- じゃがいも
- こんにゃく
- トマト
- かぼちゃ
- 大根
- なす
- にんじん
- 白菜
- ほうれん草
- 緑豆もやし
- 赤パプリカ
- いちご
- ぶどう
- キウイフルーツ
- 柑橘類
- 海苔
- 木綿豆腐
- 非加工肉
すべての高FODOMAP食品がだめなわけではなく、個人差があります。一度低FODOMAP食を試してみて、腸の症状が収まったら少しずつ高FODOMAPな食材を試し、明らかに症状が強くなる食材だけ避ける方法が推奨されています。
まとめ
過敏性腸症候群に使われる主な漢方薬と推奨される食事を紹介しました。
多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。
何でもお気軽にご相談下さいませ。
全国の皆様よりお電話でご相談承ります。お気軽にご相談ください。
Address. 大阪府大阪市平野区加美東3-17-16
Phone. 06-6793-0609
Open. 10:00-18:00
Holiday. 木曜・日曜・祝日