逆流性食道炎
71歳男性、もう1年にもなるということですが、逆流性食道炎がなかなか治らずに困っていると、ご相談がありました。
クリニックで胃酸を抑える薬をもらっているが、胃のみぞおちの上あたりが昼も夜もやける。
日中もつらいが、夜中2時くらいになると、必ずといってやけてくるので目が覚める。その後の睡眠が浅く、充分にとれないので、疲れもストレスもたまっているということでした。
他に、口が苦く食事の味が落ち、絶えず口唇が乾くといった症状もあります。
逆流性食道炎は胃液が食道に逆流することで胸焼けや呑酸(酸っぱいものが込み上げる)がおこり、それにより食道の粘膜がただれ、びらんし炎症を起こします。
なぜ食道に胃液が逆流するのか
逆流性食道炎では、なぜ胃液が逆流するのでしょうか?
主な原因は次の通りです。
食道の下に胃があり、食べた食物は食道を通り、胃に入っていきます。
その胃の入り口を噴門といいます。胃に入った食物が充分に消化され、十二指腸へ送り出されるその出口を幽門といいます。
逆流性食道炎では、その幽門部に、ストレスなどが原因で通過障害を起こしています。幽門の括約筋が過緊張で痙攣を起こして、胃の内容物が十二指腸へ移っていけないのです。
さらには、それにより胃に逆流現象が起き、胃の入り口、噴門部へ胃液が逆流し、食道の粘膜がただれ、炎症を起こすのです。
これが逆流性食道炎の根本の原因なのです。
胃酸を抑える薬では病気の根本の原因を取り除くことはできません。
漢方は逆流性食道炎には得意とするところです
漢方では、逆流性食道炎で胃の幽門部が過緊張で痙攣を起こしている病態を、気が滞った状態、「気滞」といいます。
少し専門的な言葉でいうと「ジスキネジー」。漢方薬はこのジスキネジーを取ることに大変優れているのです。
漢方薬は薬草の宝庫といわれていますが、生薬の枳実や厚朴に、胃の幽門部のジスキネジーを取り去ってくれる働きがあるのです。
枳実はミカン科、橙(だいだい)の幼い果実。
厚朴はほおの木の幹や根の皮。
この2つの生薬を中心にして、茯苓や白朮で胃液の量を減らし、半夏でむかつきをとり、黄連、山梔子で食道の粘膜のただれ、炎症をとっていきます。
こういった生薬が配合された漢方処方を用いることで、逆流性食道炎を体質改善していくのです。
逆流性食道炎でご相談の男性は、半年ほど漢方薬をのまれ、喜んで頂きました。
逆流性食道炎の症状
食欲はあるのに食べると胸焼けがする。胃がカッカしたり、吐き気がしたり。
こんな症状の方が結構いらっしゃいます。
通常、食べた物は食道を通り、胃で胃酸と混ざり合い、消化され、腸に押し出されます。
しかし、何かの原因で、食べ物と一緒に胃酸が食道へ逆流してしまい、胃酸の刺激により胸焼けや吐き気が起こります。
胃酸はこってりした食べ物も完全に消化するほど強力ですが、胃が胃酸で溶けてしまったという話は聞きません。それは、胃壁は粘膜で保護されていて、強力な胃酸から守られているためです。
しかし、食道は胃酸に弱く、胃酸が胃から逆流してくると炎症が起こり、胸焼けや吐き気が起こります。
病院で検査をしてもらうと、「逆流性食道炎」と診断を受け、食道に炎症や潰瘍が認められる方と、何も異常は無いのに、胸焼けや吐き気などの症状がある「非びらん性逆流症」の方がいらっしゃいます。
漢方では検査で異常がある、なしに関わらず、胸焼けや吐き気などの症状にたいへん良く効きます。
胸焼けや吐き気には漢方薬が良く効きます
胸焼けや吐き気があり、病院の検査で、食道に炎症や潰瘍が認められると「逆流性食道炎」 何の異常も認められないタイプを「非びらん性逆流症」と言いました。
「非びらん性逆流症」の方は多く、胸焼けや吐き気の症状をお持ちの患者さんの2/3を占めます。 「逆流性食道炎」「非びらん性逆流症」どちらも胃酸が胃から食道に逆流することで起こります。
漢方では食道・噴門の痙攣により、食べ物と一緒に胃酸が胃から食道へ上がってくるものと考えます。この痙攣の原因はストレスや食の不摂生によるもので漢方薬がたいへん良く効きます。
胸焼けや吐き気などの辛い症状をお持ちの方、是非お気軽にご相談下さいませ。
逆流性食道炎に実績のある漢方薬
- 茯苓飲(ぶくりょういん)
- 四逆散(しぎゃくさん)
- 柴芍六君子湯(さいしゃくりっくんしとう)
- 人参湯(にんじんとう)
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
- 大柴胡湯(だいさいことう)
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
加美漢方薬局
味好俊治
全国の皆様よりお電話でご相談承ります。お気軽にご相談ください。
Address. 大阪府大阪市平野区加美東3-17-16
Phone. 06-6793-0609
Open. 10:00-18:00
Holiday. 木曜・日曜・祝日