加美漢方ブログ
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婦人科疾患

産後の不調

産後ブルー

無事に生まれてきてくれてありがとう。
赤ちゃんの誕生は、喜び、幸せに溢れる瞬間です。
幸せな日々がずっと続くものだと思っていたら、育児は想像以上に過酷…

産後は気力、体力ともに消耗している上に、24時間体勢での育児に疲労困憊。
育児の不安も相まって、気持ちが落ち込んでしまうママも多いと思います。

産後の不調や産後ブルーは多くのママが経験します。
それには、女性ホルモンの影響も大きいのです。

産後ブルーのイラスト

産後の病気

産後に起こりやすい病気、悪化しやすい病気に、自己免疫疾患があります。

自己免疫疾患とは免疫系の働きが崩れ、敵(非自己)と味方(自己)の区別ができなくなって、自分自身(自己)を攻撃する自己抗体を作ってしまいます。

自己免疫疾患には甲状腺の病気(バセドウ病、橋本病)、関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、シェーングレン症候群、ベーチェット病などがありますが、産後に多いのが、甲状腺の病気と関節リウマチです。

女性ホルモンと免疫系は影響し合っているので、産後、女性ホルモンのバランスが崩れると、免疫系の働きも崩れます。
また、妊娠中は胎児を異物として排除してしまわないように免疫系が働いていますが、産後はその免疫系が崩れるために自己免疫疾患が起こりやすくなります。

産後は、前ページで述べた肉体症状や精神症状、そして自己免疫疾患などの難治性の病気、その他には気管支喘息や蕁麻疹などが起こりやすくなります。

それらは漢方では昔から、「血の道症」と言って、産後起こりやすいと言われ、これには悪露が関係しています。次回にお話し致します。

産後の悪露

産後は、大きくなった子宮を妊娠前の状態に戻すために、子宮復古と呼ばれる収縮が起こります。
この時、必要なくなった胎盤の残りや赤ちゃんを守っていた卵膜や子宮内膜、血液やリンパ液などが排出されます。

これらを悪露(おろ)と言い、産後5~6週間かけて排出されます。
子宮の回復が遅れると悪露も長引きます。悪露は子宮復古のバロメーターと言われています。

古人はよく「産後悪露尽きず」と言っていました。
これは、産後に出てしまわなければならない古血が、体内に残って排出されないという意味です。

漢方では、汚れて働きが悪くなった血液、古血のことを瘀血(おけつ)と言い、産後はこの瘀血が原因で、前ページで述べた肉体症状や精神症状、自己免疫疾患などの難治性の病気、その他、気管支喘息や蕁麻疹などが起こると考えます。

よって、悪露が少ない人ほど、体内に残る瘀血量は多いので、産後は漢方薬できっちり悪露を出し、瘀血を排出することが大切です。

産後の駆瘀血薬

産後の薬は、体内に残った悪露や古血、すなわち瘀血を排出するために、駆瘀血薬が主薬となります。

駆瘀血薬には、
①動脈の血流を良くして瘀血を除く、活血薬
②静脈の血流を良くして瘀血を除く、化瘀薬
③内出血を吸収して瘀血を除く、破血薬
に分けられます。

生薬それぞれに働きが違い、産後の駆瘀血薬を分類すると
①には当帰、川芎、延胡索、益母草
②には芍薬、牡丹皮
③には桃仁、紅花、芍薬、牛膝
が当たります。

また、産後は悪露が排出される際に出血もしますので、補血も大切です。
駆瘀血薬で瘀血を排出し、血流を良くして、補血薬で血液を補い、きれいな血液を全身にめぐらせます。

補血薬の代表処方に四物湯があります。
四物湯は当帰、川芎、芍薬、地黄から成ります。

四物湯の作用には、補血の他に優れたホルモン調節作用もあり、卵巣、子宮に作用して、内分泌系・自律神経系のバランスを整えます。

産後は駆瘀血薬や補血薬の他にも、気鬱やストレスを晴らす薬、体を温める薬、子宮収縮作用の薬などを併用して、産後の不調や病気、精神症状を改善します。
お気軽にご相談下さいませ。

産後の不調に実績のある漢方薬

  • 芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
  • 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
  • 六君子湯(りっくんしとう)
  • 四逆散(しぎゃくさん)
  • 五積散(ごしゃくさん)

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味好俊治


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