うつ病などの精神疾患の漢方療法
精神疾患の治療といえば、向精神薬などの服用やカウンセリングなどが一般的でしたが、近年では漢方療法が注目を集めています。
その根拠となるのは、脳の働きと腸の働きとの関係性です。
ここでは精神疾患における最先端の治療法としての漢方療法についてご案内します。
最新の精神疾患治療動向について
現代日本の医療界は西洋医学が中心となっており、症状に対する薬物投与や予防、あるいは精神的なケアなどの対症療法が主流となっています。
うつ病などの精神疾患においても治療の方法は同じです。
抗うつ剤や向精神薬の投与により精神的な落ち着きを取り戻させ、それを維持できるよう様々なケアを行います。
患者の持つ不安を取り除くために細やかなカウンセリングを行い、場合によっては催眠療法なども試みられます。
いずれにせよ、長期的な視野での治療が必要であり、投薬とカウンセリングとのバランスが重要です。
しかしながら、長期投薬の副作用により体調を崩してしまう患者も少なくはありませんでした。
そこで見直されてきたのが東洋医学です。
東洋医学の根幹を為すのは「心身一如」。
つまり、体と心は切っても切り離せないものであり、常に連動しているという考え方です。
この考え方を基に近年、精神疾患の根底には腸の働きが関与しているということが分かってきました。
精神疾患療法に関する現代医学の捉え方
これまで精神疾患は脳の問題とされ、その対処法は投薬とカウンセリングが主流でした。
これは物理的な治療を施す西洋医学の考え方によるものです。
しかしながら、人間の身体はさまざまな神経細胞が自律神経でつながっており一括りにはできません。
例えば、精神的なストレスが拒食や過食を招いたり、排泄を滞らせたりすることもあります。
この、滞った排泄や拒食が要因となり精神疾患を発病することさえあるのです。
極度の緊張が食欲の低下や態度、表情の硬直状態を招くことがあります。
このようなことから近年、精神疾患と体全体の機能、特に腸との関連性が取り上げられるようになりました。
東洋医学での精神疾患の考え方
西洋医学において精神疾患は、心身症や神経症、あるいは自律神経失調症などと区別することから始まり、薬物投与やカウンセリングなどが施されます。
これに対し、東洋医学では細かい病名分類をすることなく、患者の状態によって総合的に判断していきます。
その根幹にあるのは「心身一如」の考え方。
つまり、精神の障害は身体における感覚機能の低下でもあり、身体機能と密接な関係があるということです。
東洋医学における精神疾患の治療は、患者の外見や表情、発声の強弱などから漢方的診断を行うことから始まります。
そこから得られた証を総合し、処方を決定するのです。
例えば、便通効果のある大黄(だいおう)や承気湯類(じょうきとうるい)を処方することで患者の精神安定を図ったり、咽喉の異物感や腹部の苦しみを訴える方に対しては半夏厚朴湯を処方し、不眠や不安を取り除いたりします。
漢方を用いた精神疾患改善
東洋医学では精神疾患の多くを、気の流れの失調が原因と考えます。
従って、漢方療法においては気の流れを改善するための「柴胡剤(さいこざい)」や「(理)気剤」、あるいは「承気湯類(ちょういじょうきとう)」などが用いられます。
「柴胡剤」とは、柴胡を主薬として配合した一連の処方のことです。
主となる柴胡には抗ストレス作用があり、肝の気の流れを整えるといわれています。
胸脇苦満(胸の苦しみや緊張)や数脈(脈拍の早い状態)などの症状が見られる場合には「柴胡剤」が処方されます。
「(理)気剤」とは気の流れを整える処方の総称です。
気分の閉そく感や息苦しさ、咽喉の奥の違和感などの症状は気のうっ滞が原因と考えられます。
そこで、まず気の流れをスムーズにするために(理)気剤が処方されます。
「承気湯類」の処方は気を巡らせることが目的です。
腸などの消化管活動を改善し、便通を良くします。
東洋医学において便は邪なものです。
便の停滞が「脳腸連関」により精神の異常を招くという考え方に基づく処方です。
おわりに
「心身一如」の考え方に基づく東洋医学は、身体のいずれの機能をも損ねることなく全体として改善していくことを目的としています。
そのため、効果が緩慢で分かりにくいこともあります。
しかしながら、副作用の心配もなく、精神疾患などの長期間の治療には適していると言えます。
病気の原因を気の流れから捉えることは、人間を自然界のひとつの生命体として認識することが東洋医学であり、精神疾患における漢方療法なのです。
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