尿トラブル(尿が出にくい、頻尿)
トイレが頻回になるのは煩わしいものですし、尿意があってもトイレに行くとなかなか出ないこともあります。膀胱炎で、何度もトイレに立ちたくなるケースも。夜何度もトイレに起きてしまって眠れないケースもあります。そんな尿トラブルに使う漢方薬を紹介しましょう。

この記事の目次
尿が出にくい
猪苓湯(ちょれいとう)
熱や吐き気があり、水を飲みたがるけれど尿が出ないときに使う漢方薬です。水分代謝をよくしつつ体の炎症を取ります。尿量が増えるので、膀胱炎の時、尿をたくさん出してばい菌を流しだすためにもよく使う薬です。
五苓散(ごれいさん)
全身の水分代謝をよくする薬です。消化器官の水分吸収をよくし、余分な組織液を血管内に吸収して、余分な水は尿として外に出します。消化器官の水分吸収をよくするので、喉が渇いて水を飲むけれど吐いてしまうときや、脱水症状などにも使います。
膀胱炎
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
水分代謝をよくしつつ、体の熱を取る漢方薬です。漢方では、体の熱と余計な湿気が長く合わさると湿熱(しつねつ)という状態になると考えますが、湿熱を取る薬です。ストレス過多で怒りがたまり、それが体の熱になっている人に向いています。
五淋散(ごりんさん)
湿熱をとりつつ尿量を多くする薬です。膀胱炎や尿道炎などによく使います。竜胆瀉肝湯はストレス過多で怒りが溜まっている人向けの薬ですが、五淋散は尿に膿が混じったり尿結石ができたりする人向けの薬となります。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
不眠や不安が多い人の尿トラブルによく使う薬です。心因性の頻尿や疲れによる膀胱炎に向いています。体が乾燥して熱を持っている場合に向いた薬なのですが、漢方では疲れで体の潤いを消耗して肌粘膜が乾燥したり、体が乾燥して熱を持ったせいで不眠や不安になると考えるので、体を潤す生薬や体力を補う生薬も入っています。
猪苓湯(ちょれいとう)
細菌性の膀胱炎で、尿量を増やして膀胱からばい菌を流しだす狙いでよく使います。
猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)
猪苓湯に血を補う基本漢方薬、四物湯(しもつとう)を合わせた漢方薬です。膀胱炎などで血尿が出る場合によく使います。猪苓湯で尿を増やしてばい菌を流しだし、四物湯で血を補って膀胱の組織修復を早める薬です。胃にもたれやすい生薬が入っているので、胃腸が弱い人にはおすすめしません。
腎仙散(じんせんさん)
尿量を増やしてばい菌を流しだす生薬と、血を補って膀胱の組織修復を早める生薬と、炎症を取り抗菌作用もある生薬を組み合わせた漢方薬です。胃にもたれやすい生薬が入っているので、胃腸が弱い人にはおすすめしません。
夜トイレに起きる
夜トイレに起きてしまうのは、腎が蓄えている精気の不足によるものです。腎を補う漢方薬を使います。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎を補う生薬を中心に、冷えに弱い腎のために体を温める生薬などを足した漢方薬です。前立腺肥大症などの尿トラブルにも使います。老化に伴って夜トイレに起きてしまうようになった人に向いています。ただ、胃にもたれやすい生薬が入っているので、胃腸が弱い人にはおすすめしません。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
八味地黄丸をベースに、腎を含め下半身を強くする生薬と、利尿作用のある生薬を足した漢方薬です。尿量自体は増えますが、膀胱に尿を多くためやすくなるため、夜トイレに起きる回数は減ります。下半身を補う作用があるので、腰の重だるさや足のむくみなどにも使う薬です。こちらも、胃にもたれやすい生薬が入っているので、胃腸が弱い人にはおすすめしません。
尿トラブルにおすすめの食べ物と養生法
尿トラブルについて、膀胱炎などで尿量を増やしたいときにおすすめなのは、利水の食べ物です。腎の弱りで夜トイレに起きてしまうときは、補腎の食べ物がおすすめです。
利水の食べ物
- 菊芋
- 小豆
- 黒豆
- 緑豆
- あしたば
- アスパラガス
- えんどう
- きゅうり
- 空芯菜
- クレソン
- パクチー
- コールラビ
- じゅん菜
- せり
- ぜんまい
- タイム
- 冬瓜
- とうもろこし
- とうもろこしの髭
- なす
- なずな
- はくさい
- 水菜
- もやし
- カンピョウ
- レタス
- ローリエ
- わらび
- スイカ
- スターフルーツ
- すもも
- ぶどう
- 真桑瓜
- マンゴー
- メロン
- カカオ
- あおさ
- あさり
- あゆ
- 黒鯛
- 昆布
- 白魚
- スズキ
- タイ
- のり
- はまぐり
- はも
- もずく
- わかめ
補腎の食べ物
- あわ
- 黒米
- 小麦
- ムカゴ
- 山芋
- 黒豆
- ササゲ
- 鉈豆
- えごまの葉
- 枝豆
- ブロッコリー
- カリフラワー
- キャベツ
- ごぼう
- 干し椎茸
- なめこ
- ニラ
- 芽キャベツ
- モロヘイヤ
- ヤマブシタケ
- カシス
- ブルーベリー
- プルーン
- カシューナッツ
- 栗
- くるみ
- 黒ごま
- 蓮の実
- 松の実
- アワビ
- いくら
- イシモチ
- イトヨリ
- うなぎ
- ウニ
- エビ
- ホタテ
- カツオ
- 川エビ
- サヨリ
- シシャモ
- スズキ
- すっぽん
- タイ
- タチウオ
- なまこ
- マナガツオ
- ムール貝
- ウコッケイ
- うずら
また、膀胱炎でも補腎でも、体を冷やさないことはとても大事です。体を冷やすと免疫力が落ちて膀胱に細菌が入りやすくなります。また、腎は冷えに弱く、冷えるだけで生気を失います。衣服を工夫し、入浴はシャワーのみで済ませるのではなくできるだけ湯船に浸かって温まりましょう。
尿トラブルにはぜひ漢方薬を
漢方薬はさまざまな尿トラブルに対応できます。多くの漢方薬をご紹介しましたが、お一人お一人の体質、症状によってお合わせする漢方薬は違ってきます。体質、症状を詳しくお聞きし、一番適した漢方薬をお合わせ致します。 何でもお気軽にご相談下さいませ。
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